完成度の高さに舌を巻く
さて、今回の試乗中に欠点を探し回るという作業に追われたほど、完成度の高い新型A3スポーツバックだが、強いて言えば極低速域のマナーはトルコン付きのATよりも洗練度で及ばない点と、前後席ともにフロアも着座位置も低いため、乗降性がもう少し、という点くらいだろうか。また、身長171cmの私でも後席の着座位置は高さが少しだけ欲しく感じたが、足元も広く、4人でのロングドライブもまったく苦にならないはず。あとは、VWゴルフと変わらない基本性能の高さとアウディA3スポーツバックの価格設定をどう考えるかだろう。つまり、実用上はゴルフで十分なわけで、内・外装の洗練度や装備、ブランド力をどう評価するかによって、A3スポーツバックの価値は人によって変わってくるはずだ。
とくにドライバーが目にするインテリアの質感は、VWゴルフも十分に高いものがあるが、さすがにA3の方が一段と高級感があり、いいクルマに乗っているという満足感を刺激してくれる。
プレミアムコンパクトというキャラクターでは、ほかのCセグメント車の追随を許さないほどの出来映えなのは間違いなく、気になっているなら高い所有満足度を与えてくれるだろう。