魅力的な“スキマ商品”

アウディQ2

1Lターボを積む1.0TFSI(299万円)と1.0TFSIスポーツ(364万円)、1.4Lターボを積みシリンダー休止システムを備えた1.4TFSIシリンダーオンデマンド(405万円)をラインナップ

クルマたちの背丈がすっかり高くなってしまって、高速道路のSAのような大駐車場の景色がすっかり変わってしまった。交通量の多い街の雰囲気も違ってみえる。セダンやハッチバックに乗っていると、何だか時代遅れな気分になってしまう。いや、そもそも、信号待ちなどで背の高いミニバンやSUVに取り囲まれたりすると、圧迫感がけっこう凄い。そろそろウチも潮時だ、SUVに買い換えようかな。

コンパクトSUVが、ハッチバックに代わってマイカーの基準になった。イメージリーダーは、またしてもドイツのプレミアムブランド。アウディ、メルセデス・ベンツ、BMWはコンパクトからビッグサイズまで、SUVのフルラインナップ化をいち早く達成している。

彼らはどん欲だ。とりあえず大中小を揃えたかと思えば、その間にも新たなモデルを挿入する。たとえばBMWは、X1、X3、X5を並べて、さらにX4とX6を置いた。X2も間もなくだ。ミニだってある。

日本勢も、元気なマツダやスバルが追いかけている。特にマツダは、欧州プレミアムブランド並の戦略で、SUVファン層の拡大に貢献する。そんなこんなで、SUVは最早、セダンやハッチバックのオルターナティヴとして、市民権を得ている、のだった。
アウディQ2

車間距離を一定に保って走行するアダプティブクルーズコントロール、追突の危険を検知すると警告を出しつつブレーキ操作を行ってくれるプレセンスフロントなどを装備(1.0TFSI以外)。アクティブレーンアシストなど安全・快適装備も充実

アウディの新型コンパクトSUVもまた、魅力的な“スキマ商品”だ。BMWと同様に、アウディも車名の数字がラインナップにおける相対的な大きさを示す。最大級のQ7を皮切りに、Q5、Q3とラインナップを揃えてきた。Q2は、今のところ、最もコンパクトなアウディSUVである。

今のところ、と言ったのは、今後、A1ベースのQ1が登場するから。それどころじゃない。他の数字、4も6も、何なら8まで登場する予定だというから、ドイツ車の基幹となるラインナップは、これまでのハッチバック~セダン&ステーションワゴン路線メインから、SUV路線メインへと移行するのかも知れない。メルセデス・ベンツには既にその兆候がある。

新しいフロントマスクにスポーティな内外装

アウディQ2

Cピラーのブレードやポリゴン(多角形)デザインのグリルが特徴的。ルーフスポイラーやアーチ型のバンパー、ディフュザーなども備えスポーティな仕立てに

というわけで、前置きが長くなってしまった。本題に移ろう。アウディの新型SUV、Q2は、見た目にQ3よりもはっきりと小さいけれども、実はQ3がベースで、つまり相当な実力派であることが容易く想像できる。

各車ボディサイズ(全長×全幅×全高:ホイールベース)
アウディQ2 4200mm×1795mm×1500mm :2595mm
アウディQ3 4400mm×1830mm×1595mm :2605mm
アウディQ5 4630mm×1900mm×1660mm :2810mm
マツダCX-3 4275mm×1765mm×1550mm :2570mm

日本の道路事情にマッチした大きさであることは、上の数字からも明らか。マツダCX-3に比べて、短くて、やや幅広く、やや低い。アウディのSUVにしては珍しく立体駐車場も場合によってはオッケーだ。それでいて、室内のスペースは後席もふくめてQ3と同等。ベースが上級モデル(MQBプラットホーム、つまりはインゴルシュタット製)である証拠だ。ラゲッジスペースの容量も、Q3よりは少し劣っているものの、ハッチバックのA3よりは大きい。
アウディQ2

ラゲージスペースは通常405L、後席を倒せば最大1050Lを確保する。床面が低く抑えられているので、荷物の出し入れも楽になっている

アウディは、このQ2から新たなデザインモチーフを採用した。多角形のポリゴン要素をグリルやボディラインに採りいれている。Q2のグリルは八角形で、これが今後のQライン用グリルデザインの基本となるようだ。アウディシングルフレームグリルは、このQタイプに加えて、AタイプとRタイプの合計3種類に集約され、カテゴリーごとに差別化されることとなる。

Q2のデザイン的なハイライトは、新しい顔つきもさることながら、真横からの眺めの方だろう。特徴的なボディラインが既にポリゴンになっていて、SUVらしく四肢の力強さをアピールしている。エンドピラーがブレード状になっていて、交換可能というアイデアは、これまでにもいろんなブランドが試したけれども、モノになった試しがない。アウディがやると、どうか。注目だ。
アウディQ2

標準のアナログメーターに加え、オプションで情報をメーター部のTFTディスプレイに表示するアウディバーチャルコクピットを採用

アウディQ2

インテリアにも多角形/多面体を用いたデザインを採用。エントリーモデルの1.0TFSI以外にはフロントにスポーツシートを備えた

アウディQ2

スポーツグレードにはマルチファンクションステアリングやインテリアのライティングパッケージ、アウディドライブセレクトや各種安全装備などが備わっている

インテリアの雰囲気は、兄貴分のQ3以上とはまるで違っている。ラグジュアリー感よりもスポーティなデザインテイストを重視した。アウディのコンパクトラインに共通するデザイン表現でもある。フロントシートが、格好いい!

日本仕様としては、2種類のパワートレーンが用意された。最高出力、最大トルクともにQ2用に数値を上げた1L直3TFSIと、シリンダー休止システムを持つ1.4L直4TFSIで、それぞれに7速DSGを組み合わせている。とりあえずはFF(前2輪駆動)のみの導入となった。クワトロやディーゼルターボの導入も期待したいところだが……。
アウディQ2

最高出力116ps/最大トルク200Nmを発生する1Lターボエンジンと、150ps/250Nmの1.4Lターボを搭載。デュアルクラッチの7速Sトロニックが組み合わせられている


コンパクト系アウディはデザインも走りも“若々しい”

アウディQ2

カーブなどでの小さなハンドル操作時には穏やかに、切り返しなどの大きな操作時にはクイックに操舵特性を変更してくれるプログレッシブステアリングを標準装備

試乗車は、いち早く上陸した1.4L仕様の1.4TFSIスポーツ。車両本体価格で400万円を超えてくる、と聞くと、ちょっと引くが、最近じゃ国産車も高くなってきた。1.0TFSIのスタンダードが299万円という戦略価格の方が気になるところ。

個人的には、FFアウディの乗り味をあまり好まない。そもそもカッチリと軽快な動的フィールを得意とするブランドゆえ、クワトロ(全4輪駆動)による落ち着きがあってこそ、動きにプレミアムブランドらしい洗練さが行き渡るというもの。それがFFの場合には、軽々しさの方が目立ってしまい、走りに懐の深さを感じられなくなってしまうのがアウディFFの常だった。
アウディQ2

多角形/多面体を組み合わせたポリゴンデザインコンセプトを採用。複雑な面の組み合わせで生まれた直線や曲線により、存在感のあるスタイルに仕上げられている

Q2は違う、と言いたいところだが、概ね、その感覚は変わらない。節々が強く、乗っていて骨張った印象を受ける。ワインディングロードを軽快に走らせるような場面ではいいけれど、肝心の街中では、やっぱり骨張っていた。

もっとも、その軽々しさこそが、コンパクトアウディの魅力である、と言うこともできる。A1がそうだったように、コクピットの雰囲気そのままに、スポーティなライドフィールを実現、と書くことだってできるからだ。

要するに、コンパクト系のアウディは、デザインも、そして走りも、かなり“若々しい”。50歳を超えたオッサンが「ちょっと面倒くさい」と思うのも、致し方なく、かえってアウディの戦略が図星であることを物語っているようにも思えた。オッサンは、黙って高いクワトロ系を買いなさい、と。
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