お子さんはお風呂が好きですか?
立冬が過ぎて夜の冷え込みも強くなってくると、お風呂にゆっくり浸かりたい気持ちも増してきます。小さなお子さんがいると、お風呂タイムもなかなかゆっくりできないかもしれませんね。お子さんは、お風呂が好きですか? 苦手ですか? お風呂が苦手な子はお風呂が楽しみに、お風呂が好きな子は長湯が心配になるほどさらに大好きになるかもしれない、楽しいお風呂の絵本『おふろだいすき』をご紹介します。
お風呂が果てしなく広がる物語
お風呂のお供、あひるのおもちゃ!
子どもの心を引きつけるツボがたくさん!
まこちゃんと、登場する動物たちの会話が実に丁寧に展開していきます。亀が登場してまこちゃんに、ここはどこかと問う場面、双子のペンギン・ジムとジョンが、どちらが兄さんであるかを言い合う場面など、子どもがついつい声を出して笑ってしまう会話が散りばめられています。ユニークな会話と、勢いのある場面とゆったりした場面との緩急があり、意表を突く展開の連続は、文字、ページ数ともにボリュームのある絵本でありながら、2~3歳の子をも引き付けます。小さな子の何気ない気持ちをすくい上げ、想像力を果てしなく広げてくれる松岡享子さんのお話。林明子さんの絵は、お風呂場の空気や温度、においまで伝わってきそうなほど、ページの中にあるすべてのものの細部まで丁寧に書き込まれています。お話の盛り上がりの後にはクールダウン
お風呂の中で滑ってシャボン玉をして、大きな動物の体もしっかり洗ってあげたら、最後はみんなで肩まで湯船に浸かって50まで数えます。この頃には広大な温泉のようになったお風呂でたっぷり温まったまこちゃんと動物たち、そして、読み手の子どもの体もポカポカで、心の盛り上がりもピークを迎えているでしょう。でも、興奮した状態では、ぐっすり眠れませんね。大丈夫、絵本のおしまいは、まこちゃんも読み手の子どもたちをも、しっかりクールダウンして心地よい疲れを穏やかに包み込んでくれます。
ひとり遊びの奥深さ
ひとり遊びに夢中になっている子どもは、多彩に1人何役をも演じ、大人が入り込む余地がないほど集中しているものです。そんな子どもを見るたびに、自分もかつてそんな遊びができた頃があったことを思い出し、うらやましくなります。子どもの頃、「大人は子どもの心を何で忘れてしまうんだろう。私は今子どもだから、今の気持ちを大人になるまでしっかり覚えているぞ!」と心に誓った私ですが、「子どもの心」はどんどん存在を薄くしました。しかし、大人の心の中に、子どもの心が全くなくなるわけではないでしょう。この絵本は、読み手の大人の中の、子どもの心を呼び覚ましてくれます。親子双方の「子どもの心」をたっぷり引き出してくれる『おふろだいすき』が、毎日のお風呂タイムをより楽しいものにしてくれますように!