江戸・元禄時代の名残を今に伝える「笹巻すし」
こぢんまりとした店構え。引き戸から店内へ入ると、すぐ正面に帳場があり、ショーケースには折詰めの見本が並んでいます。“持ち帰り”、いわゆるテイクアウト中心の小さなお店ですが、店内での飲食も可能です。入って左手には2、3組が座れるテーブル席があり、壁には店の由来を記した額も掲げられています。しかし内外装を含めて、“タイムスリップ”した感がありますね。この日は友人と2人、入口近くのテーブルに腰かけ、「笹巻すし(7ケ)」(1620円)をオーダーします。イートインの場合は、笹巻すし7貫に潮汁とお茶が付いています。
運ばれてきたその姿……なかなかお目にかかれないビジュアルで、毎度のことながら色鮮やかな笹が心を躍らせてくれます。
7貫の内容は、鯛、光モノ、白身の魚は季節で変わります。そして玉子、海老、おぼろ、のり巻き(かんぴょう)です。1貫ずつ何が出てくるかを想像しながら巻かれた笹を開けていく……一興ですね。ちなみにこの日は、「ランチ用の小鉢、よろしかったらどうぞ」と一品サービスがありました。
笹巻すしの酢飯はかなり酢が効いています。まだ冷蔵庫など冷凍技術がなかった時代の、保存性確保の製法がうかがえます。とはいえ現在は、酸味やしょっぱさはかなりおさえられているとのこと。伝統の製法は守りつつ、時代に合わせて味付けの変更を行う……他の老舗店でもよく見受けられますが、同店も同様ですね。
笹巻すし2貫が入った10食限定のサービスランチ
別日に、2013年6月から始めたという10食限定のランチメニューをいただきに伺います。この日の「サービスランチ」(1000円)は穴子丼、笹巻すし2貫(玉子、のり巻き)、小鉢にお吸い物といった内容です。2貫ですが、名物が入っているのが嬉しいですね。ご飯の大盛りも無料なので、男性も十分満足できる量でしょうか。店名の“笹巻”は見た目通り、熊笹で巻かれていることを表しています。笹には殺菌作用があり、戦国時代の兵糧を包むことをヒントに初代が考案。一方の“けぬき”は、すしダネで使用する鯛の小骨を毛抜きで丁寧に取り除くことからその名前が付いています。
作りたて(巻き立て)よりも、少し時間を置くことで酢飯とネタが程よく馴染むという笹巻すし。都会の片隅にひっそりとたたずむ家族経営の小さなお店ですが、とてつもない歴史と伝統、その継承に敬意を払いたくなります。この日はランチを食べながら、持ち帰り用の折詰め「笹巻すし(7ケ)」(1575円)を追加オーダー。時間を空けて夜もその味を堪能することに……。
赤穂浪士の討ち入りの年に歩みを始めた、東京最古のすし店で、ランチはいかがでしょうか?
■笹巻けぬきすし総本店
・住所:東京都千代田区神田小川町2-12
・TEL:03-3291-2570
・営業時間:平日9:00~18:30、土曜日9:00~17:00
・定休日:日曜日・祝日
・地図:Yahoo! 地図情報