骨・筋肉・関節の病気/骨折(疲労骨折・剥離骨折・圧迫骨折)

基節骨骨折・末節骨骨折などの指骨骨折の症状・治療法

【形成外科医が解説】「基節骨骨折」「末節骨骨折」などに分けられる「指骨骨折」。指の末節骨、中節骨、基節骨に、事故や運動、日常生活の中で直接もしくは間接的に外力が働くことで発生します。X線で診断でき、保存治療か手術治療で治療を行います。早期に手の外科専門医を受診してください。

井上 義治

執筆者:井上 義治

形成外科医 / 皮膚・爪・髪の病気ガイド

基節骨骨折・末節骨骨折など……指骨骨折とは

指には末節骨、中節骨、基節骨の3種類の骨があります。母指(おやゆび)には中節骨はなく末節骨、基節骨の2つだけで、他の4本には3つの骨があります。
指の骨

        指には3種類の骨があります。


この14個の骨のいずれかが骨折した場合、指骨骨折と呼ばれます。掌にある中手骨を含める場合もあります。

<目次>  

指の骨折が多い年齢・性差

運動、事故などに伴い発生する骨折ですので、あらゆる年齢層に発生します。一般の人にも発生しますし、スポーツ選手などでもみられます。男性に多い骨折ですが、女性にも発生します。
 

指骨骨折の症状

骨折部位の腫脹、疼痛、隣接する関節の可動域の低下などがみられます。指の形が変形することもあります。
 

指骨骨折の診断

■単純X線
単純X線写真は放射線被爆量も少なく、費用もわずか。その場で撮影も終了し当日説明を受けられるので、整形外科では必ず施行します。
X線像

        指単純X線側面像


■CT
単純X線で診断がつかない場合でもCTであれば診断可能です。
 

指骨骨折の治療法……保存治療と手術治療

指骨骨折の治療として保存療法、手術療法の2つの治療法があります。

■保存治療
初期治療として骨折した骨をもとの状態に戻す整復を行い、シーネで固定を行う保存治療をまず行います。整復の状態がよければ、このまま時間をかけて骨折した部位の骨癒合をはかります。長期間の固定が必要となりますので、運動、仕事の制限があります。

●鎮痛薬
ボルタレン、ロキソニンなど非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAIDと省略されます)を用います。

・ボルタレン……1錠15.3円で1日3回食後に服用。副作用は胃部不快感、浮腫、発疹、ショック、消化管潰瘍、再生不良性貧血、皮膚粘膜眼症候群、急性腎不全、ネフローゼ、重症喘息発作(アスピリン喘息)、間質性肺炎、うっ血性心不全、心筋梗塞、無菌性髄膜炎、肝障害、ライ症候群など重症な脳障害、横紋筋融解症、脳血管障害胃炎。

・ロキソニン……1錠22.3円で1日3回食後に服用。副作用はボルタレンと同様です。

どちらの薬でも胃潰瘍を合併することがありますので、胃薬、抗潰瘍薬などと一緒に処方されます。


■手術治療
骨片が多数あるもの、骨欠損があるもの、整復した骨片の位置が正常な位置関係にない場合、関節内骨折で保存的名治療では変形治癒となる可能性が高い場合、保存治療で癒合しない場合などが手術の対象となります。

 
術後X線

手術で鋼線と呼ばれる金属で骨片の固定を行いました。

この手術は、小さな骨片を固定する鋼線を使用してから、末節骨と中節骨の関節を固定する石黒法とよばれる手術法です。


■抜釘術
術後に骨折が治癒した後に固定具を除去します。抜釘術(ばっていじゅつ)と呼ばれます。
手術後

       手術後に骨折は治癒しました。

 

指骨骨折の予後

指骨骨折は頻度の高い骨折で、早期の診断治療が大切な骨折です。骨折の部位程度などにより治療後の予後は変わってきます。早期に手外科専門医を受診することをお勧めします。

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