胸郭出口症候群とは

毎日同じ姿勢や動作の繰り返しが発症の要因になることがあります

毎日同じ姿勢や動作の繰り返しが発症の要因になることがあります

いつもより机に向かう時間やパソコンを使用する時間が増えてしまう時期は、手や腕に不快な症状が出るおそれがあります。デスクワークで同じ姿勢が続き、姿勢的な負担も増え、今までに肩こりがあった人は、さらに首の筋肉の緊張が強まりやすくなることも関係します。

パソコンを使う時に、頭の位置が両肩よりもだいぶ前へ出ていませんか? また腕の位置も身体より前に保持された状態で、パソコンのキーをたたいたり、書類を書いたりしているのではないでしょうか。この時、首の前側にある筋肉、胸の筋肉、それらが付着している鎖骨や肋骨に問題がおこりやすくなります。

日々デスクワークが多いうえ、忙しい時期などで腕や首に負担のかかる時間が増えると、首の筋肉や肋骨などにより神経や血管が圧迫されたり伸ばされたりして、手・腕にしびれや倦怠感などの症状を出す可能性があるのです。これが「胸郭出口症候群」とよばれる症状です。

胸郭出口症候群の症状

「肩周りの症状」の項目に当てはまるものがあり、さらに「手や腕の症状」「その他の症状」にあてはまるものがあれば、胸郭出口症候群の可能性があります。

■ 肩周りの症状
  • 肩こりを自覚している
  • 肩こりの自覚は無いが、首、肩周りの筋肉を圧すると硬く痛く感じる
  • 頭痛
  • 背中の痛みや肩甲骨内側の痛み・コリ・張り感

■ 手・腕の症状
  • しびれや痛みがある
  • 倦怠感・脱力感がある
  • むくみがある
  • 冷感や手の血色の悪さが見られる

■その他の症状
  • 顔面の発汗
  • 吐き気
  • 就寝時の寝る体勢によって、腕の痛みやシビレが出る
  • 電車のつり革に掴まっていると、腕や手が重だるくしびれる
  • 腕や首の位置によっては症状が出てくる


腕の付け根(わき)付近にある「胸郭出口」

神経の絞扼が起こる部位は3ヵ所あるとされています

神経の絞扼が起こる部位は3ヵ所あるとされています

そもそも胸郭出口とは、身体のどのあたりを指すのでしょうか?

胸郭出口は、ちょうど、首すじから腕の付け根(わき)付近に位置します。首の骨が乗っている体幹とのつなぎ目あたりも含まれます。

この部分は腕にむかっている神経の束や血管の通り道になっているところです。この部分で神経や血管が圧迫されたり伸ばされたりして、痛みやしびれ、血行不良などをひきおこします。


胸郭出口症候群になりやすい人は?

一般的には、20~30代のなで肩の女性に多く、男性では筋肉質でいかり肩の人に多いといわれています。

■ 肩こりがある
頭や腕の位置を保つための複数の筋肉がバランスを崩しやすくなる恐れがあります。

■ なで肩
なで肩の人が全員、胸郭出口症候群になるわけではありませんが、肋骨と鎖骨の間が狭くなりやすい傾向があります。

筋力トレーニングを頑張っている
肩、首に負荷のかかる筋力トレーニング後に、使用した筋肉のスレッチが不十分な場合、腕への血行が悪くなる可能性があります。

■ 長時間パソコンを使う
腕の筋肉が疲労した場合も、首・肩周りの筋肉に影響します。長時間パソコンを使うことで、腕を保持するための筋肉がリラックスできない状態になるかもしれません。

毎日のデスクワーク
姿勢を支える筋肉が疲労しがちになり、姿勢を保ちにくくなります。すると徐々に肩が体の前方へ位置するようになり、腕への血流が障害されやすくなります。

受話器をはさむ
受話器を頭部と肩ではさみながら手作業をする動作が頻繁に行われると、首、肩周りの筋肉が緊張しアンバランスを招くことが。


手・腕に症状が出た時の対処法・予防法・改善法

手・腕にしびれを出す疾患の中には、頚椎の問題や病気が潜んでいる場合もあるため、まずは整形外科を受診すると安心です。ほとんどの場合は、筋肉を温めたり、運動をして筋力UPをはかるなどの「保存的療法」とよばれるものが行われます。

もちろん、自分で出来る改善策・予防策もあります。慢性化していると、改善させるまでに時間がかかることもあり、根気が必要になりますので、慢性化させないためにも、肩こりを悪化させたり疲労を招く姿勢を回避するよう心がけましょう。

 胸郭出口症候群の予防のコツ

毎日同じ姿勢や動作の繰り返しが発症の要因になることがあります

胸を開くようにストレッチをすることで発症の予防になります 

仕事に集中している時は、姿勢への配慮は難しくなります。休憩時間やご自宅では、なるべく疲労した筋肉の負担を軽減できるように心がけられると良いと思います。

  1. パソコンのディスプレイを見る時に、顎を前に突き出していることに気付いたら、両腕を広げ胸を開くようにストレッチをしてみましょう(腕に症状が出る人は中止して下さい)
     
  2. うつむいた状態を長い時間続けてしまったら、頭をゆっくりと回して、首の横や後の筋肉をストレッチしましょう
     
  3. 寝るときは腕を圧迫しないように注意します。バンザイ姿勢で寝るクセのある人、横向き姿勢で眠る人は要注意です
     
  4. デスクワークや手作業中は、腕を下げている状態なので、休憩時間などに腕を頭の上へ挙げ、ぐ~っと伸びをしてみましょう
     
  5. 肘を曲げたまま、肘で円を描くように回してみると、肩甲骨周辺や胸部、脇、腕などが気持ちよく伸びることがわかると思います。ゆっくり回すことで、それぞれの筋肉がストレッチされることを感じましょう

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