坐骨神経痛を疑ったら早期受診を!

坐骨神経痛は原因が様々で自己判断が難しく放っておくと悪化するケースもあります

坐骨神経痛は原因が様々で自己判断が難しく放っておくと悪化するケースもあります

腰の調子が悪く、お尻や太もも裏、スネや足にまで痛みやしびれが生じるようになると、坐骨神経痛を疑う人が多いようです。そして本当に坐骨神経によるものなのか、自己判断は難しいもの。これらの症状には、すぐに病院へ行かなくてはならないケースや、急ぎではなくても検査で原因を探り治療を受けるべきケースが含まれていま。坐骨神経痛らしき症状が現れた場合に慌てないためにも、受診すべき科と治療法について、頭の片隅に留めておくことが大切です。

坐骨神経痛を疑ったら何科? 受診すべきは整形外科

お尻、太もも裏、膝下でスネの辺り、足に痛みやしびれが生じたり、力が入りにくいなどの自覚症状が出た場合、そのまま様子見をして数日経過する方は少なくないようです。これらの症状から坐骨神経痛が疑われる場合、できれば悪化する前に整形外科を受診して、必要な検査と適切な治療を受けた方がより早い改善が期待できます。

そして坐骨神経痛によくある症状以外に下記の症状が出た場合は、神経痛の原因となっている内臓疾患や腫瘍が疑われることもあるので、早急に医師による診断が必要になります。以下のような症状がある場合、すぐに整形外科を受診して下さい。

  • 足に力が入らなくなった
  • 歩行困難になった
  • 排尿・排便障害が見られる
  • 横になって休んでいても下肢の痛みが強まる
          

坐骨神経痛を疑ったとき、病院受診前にメモしておくべきこと

自宅では症状の経緯をしっかりと覚えていても、いざ診察では医師に伝えたかったことを忘れてしまうことがあります。下記の項目を中心に、症状についてのメモを作って持参すると便利です。

  • 腰痛や下肢の痛み、しびれなどの症状が始まった時期は?
  • 痛み、しびれのある部位は? また、悪化する動作、姿勢は?
  • 日や時間により症状の強さに変化はありますか?
  • 症状が出たきっかけ(心当たり)は?
  • 過去に同じような症状の経験は?
  • 治療済み、治療中の疾患、服用中の薬は?

坐骨神経痛の検査・診断方法

整形外科では、坐骨神経痛の原因を調べるために様々な検査を行います。自覚している症状について医師と話をした後、体の状態を把握するために、歩行や姿勢、動作を確認。そして、背骨や骨盤で痛みやしびれを感じる部位に直接触れたり、下肢を持ち上げたり、力の入り具合を見るなどの検査があります。

検査が痛くて苦痛ではないかと心配される人も多いようですが、基本的な検査では下肢を動かして痛みを見る検査があるものの、ひどい痛みを伴うようなつらい検査はありません。ただし、閉所恐怖症や心臓ペースメーカー使用中の人、体内に金属のある人などは一部の画像診断が受けられないことがあるため、腰部に針を刺し造影剤を注入する少し痛みを伴う検査をする場合があります。

脊椎の状態や炎症、腫瘍、筋肉や神経組織などを調べるために、それぞれに適した画像検査があります。主なものはX線検査、CT(コンピュータ断層撮影装置)、MRI(核磁気共鳴映像法)などです。
 

坐骨神経痛の治療法

検査で坐骨神経痛の原因が確認できたら、患部の状態に応じた治療が行われます。すぐに手術というイメージがあるかもしれませんが、排尿障害や排便障害などの重篤な症状が見られない場合は手術ではなく、まずは保存療法を試みる場合が多いです。

保存療法には下記のよう方法があります。保存療法を3ヶ月続けても日常生活に支障があり、症状に変化が見られない場合、改めて手術が検討されることがあります。

■ 物理療法
血流を改善させて体を動かすための機能回復を図る治療法。ホットパックなどの温熱やマイクロウェーブ、マッサージなどで血流を促進させ、筋肉の緊張を緩和させます。また、骨盤を引っ張ることで腰椎を引き伸ばし、症状をやわらげる「牽引療法」を併せて行うことも。腰部の彎曲に変化を与え腰部筋肉の過剰な緊張を緩和させるのが目的です。

■ 装具療法(コルセット)
症状に応じてコルセットを装着する治療法。医師の指示で正しくコルセットを使用することで、腰を支える不安定な状態を補助し、同時に坐骨神経痛の出る姿勢にならないよう動きを制限することができます。

コルセットをすると安心感が出るため、常にコルセットを着けていたいと思う人もいるようですが、腰の動きが制限されがちになるため、長期間使用すると、腰を支える筋肉の働きが低下する人もいます。医師の指示により症状の強い期間に限定して使用することが多いです。

■ 運動療法
安静にする期間を経て症状が軽くなってから行います。体操・ストレッチにより筋肉・靭帯の硬さを和らげ、関節が本来の可動性を取り戻し、症状を軽減させる治療法。

腰の状態により運動内容が異なるので、医師の指導を受けて行いましょう。運動療法は1回行えば即効果が出るものではないため、焦らずコツコツ続けることが大切。

■ 薬物療法
坐骨神経痛の原因によっては薬物療法を行うことも。主な薬は以下の通り。

  • 消炎鎮痛剤……痛みと炎症を鎮める非ステロイド系の薬。内服薬と座薬がある
  • 筋緊張弛緩薬……筋肉の緊張で痛みが長引かないよう、緊張を和らげる薬
  • 末梢循環改善薬……神経組織周辺の血流を改善させ痛みを和らげる薬
  • プロスタグランディン……腰部脊柱管狭窄症の場合、血管を広げ血流を良くする薬
  • ビタミンB12……末梢神経の傷を修復し、神経機能を安定させる薬
  • 温湿布・冷湿布……痛みを和らげるための外用薬
特に外用薬である湿布は,
病院の処方がなくても自己判断で使用している人が多いようです。購入時には薬剤師に症状を説明し、相談することをお勧めします。

■ 神経ブロック療法
強い痛みが続いたり、理学療法や内服薬などで効果が見られない場合に選択されることがある「神経ブロック療法」。交感神経の働きが優位になり続けると血管が収縮して筋肉が硬くなり、血流低下から慢性的な痛みが起こる恐れがあるので、神経ブロックによりそれを防ぎます。痛みを専門に扱うペインクリニックでは、神経ブロック療法を中心に他の療法を組み合わせる治療方針を打ち出しているところが多いようです。

神経ブロックの方法は約25種類。神経や神経周辺の組織に麻酔薬を注射し、一時的に脳へ痛みを伝える神経の信号伝達を遮断。痛みに関与している交感神経の緊張を緩和させる方法が一般的です。

局所麻酔薬の他、症状に応じてステロイド剤(副腎皮質ホルモン)も注射する場合があります。血流回復で痛みの産生物質がなくなることで、そのまま症状が軽くなるケースもあります。

■ 手術
すぐに手術が検討される症状は、排尿・排便障害や強い麻痺が見られ、ほとんど歩くことができないなど、日常生活に大きな影響が出ていて、上記の保存療法では改善の見込みがない場合です。

また、保存療法と薬物療法を約3ヶ月続けても変化が思わしくない場合も手術が検討されます。腰部脊柱管狭窄症が原因の場合、狭窄を起こしている部位の骨や靭帯を切除するなど、手術の方法も様々。状態により内視鏡手術を行うこともあります。

椎間板ヘルニアで手術が必要な場合も、ヘルニアを切除する方法の他、管を挿入し器具を使用しながら髄核(椎間板の中央にあるゼリー状の物質)を摘出する方法など、複数の手術法があります。
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