1.シコふんじゃった。
大学4年生の男が、いきなり相撲部に入部することからはじまる物語です。
この主人公はコネにより就職は決まっているのですが、修得した単位数がギリギリです。単位は大学生にとってとても大切なものであり、卒業単位を満たすことができなければ退学という道を選ぶきっかけにもなりかねるので、それはもう一大事なわけです。
教授は単位を認定する見返りとして、とある提案をします。それは部員が一人しかいない弱小相撲部に入り、一日だけ試合に出てくれということでした。しかも、その相撲部は弱小どころでなく、全大学中最弱でした。唯一の現役部員もやる気はあってもすこぶる弱く、なおかつそいつは大学8年生であるというおまけつきです。とにかくダメダメなのです。
しかし、テキトーな理由で入ってきた主人公、そして寄せ集めでしかなかったはずの部員たちは次第に相撲にのめり込んでいきます。今までが中途半端だった者たちが、何かに一丸となってがんばる姿はそれだけで感動的でした。すべてのキャラクターが魅力的で、観た後は清々しくなる、スポーツ映画の最高峰です。
2.僕たちは世界を変えることができない。
ボンボンの医学生が、ボランティアでカンボジアに学校を建てようとする物語です。こう言うと、「なんだよキレイゴトじゃん」「親がカネを持っているからそういうことができるんだよな」「カンボジアより、まずは日本の身近なところでボランティアしろよ」と思ってしまうかもしれません。
しかし、この映画ではそのキレイゴトも、作品の中でしっかり提示をされています。主人公たちは次第に「軽い気持ち」でやろうとしていた自分たちを恥じ、そして現実の厳しさを知っていきます。これはボランティアを、キレイゴトだと思っている人にこそ観てほしい作品でした。
大学に行ったら、何かをしたい、成し遂げたいということがあるでしょう。その道は平坦じゃない、自分たちのエゴかもしれない、やったところで何も変わらないかもしれない。それでも「やった」ことこそに意味があるのではないか、そう思わせる力があります。
大学デビューの本をたくさん読むのもよいですが、こうした「何かをしたい」と思わせてくれる作品を知ってほしいと思います。
3.ソーシャル・ネットワーク
実在の億万長者・マーク・ザッカーバーグを主人公とした映画です。
こう言うと、学生時代から人脈や技術を学んで、大成功をするためのノウハウが詰まっている映画なんだ、と思ってしまうかもしれませんが、全然そんなことはありません。それどころか、本作のザッカーバーグは人間としては最低なヤツなのです。
女学生たちの顔を横に並べて掲載して「どっちがいい?」と決めさせるページを作成してバッシングを受けたり、そのことで何ひとつ悪びれなかったり、恋人や友人にまったく共感することがなかったり…ザッカーバーグの性格は事実とは異なるそうですが、いくら社会的に成功したからと言って、彼のようなことをしたくないと多くの方が思うでしょう。
これは反面教師的に、コミュニケーションの大切さを知らされる映画です。その映画で扱われているのが、世界中で「友達をつくるサイト」として利用されているフェイスブックであるというのは、なんという皮肉でしょうか。カネはあるけど、人望がないか。それとも、カネはなくても友達と楽しく過ごす大学生活がいいか。それをこの映画を観て判断してみるのもいいかもしれません。
今は、大学を運営している方も、これから大学で学ぼうと人も思っている人も、就職を第一にとらえ、大学生活が窮屈になってしまったような印象を受けます。
これから大学生になろうとしている人が、将来の不安のためにそういったことに敏感になるのは致し方ないでしょう。
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これらの映画には「就職のためのノウハウ」「社会的に勝ち組になる方法」なんてものは描かれていません。しかし、それ以外の必要なことを、映画は教えてくれます。勉強して、いいとことろに就職して、というのももちろん大切ですが、それ以上に大学生にとって重要なのは「何にチャレンジしたか」「何を成し遂げたか」だと思うのです。これらの映画は、大学生活の見本として利用できるはずです。
今でも、映画の主人公のように、大学生活でまわり道をしたり、何かを「とりあえず」やってみることもいいと思いますよ。
p.s.「とにかく楽しい大学生活」を観たいのであれば、「横道世之介」もおすすめします。
これは「かけがえのない、大切な大学生活の時間」を教えてくれる作品です。この物語を観れば、「自分もこんな大学生活を送りたい」と思うはずです。
頑張れ、受験生!