不動産売買の法律・制度/不動産売買ワンポイントアドバイス

住宅瑕疵担保責任保険とは?

住宅瑕疵担保責任保険とは、いったいどのようなものかご存知ですか? この保険は、新築住宅の売主業者や建設業者に義務付けられた資力確保措置の一つです。購入しようとする新築住宅は必ず、保険への加入、もしくは供託をすることになりますから、住宅瑕疵担保責任保険についてしっかりと理解しておくことも大切です。

執筆者:平野 雅之

【不動産売買ワンポイントアドバイス No.021】

住宅瑕疵担保責任保険

住宅瑕疵担保責任保険に加入している新築住宅の例


最近の建売住宅や注文住宅の建築工事現場では、玄関部分などに「○○保険」などと書かれた紙が掲出されていることがよくあります。物件の見学などへ行ったときに、これを見かけたことがあるという人も多いでしょう。これは、2009年10月1日から新築住宅に義務付けられた、住宅瑕疵担保履行法(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)に基づく資力確保措置のうち、保険加入の措置を講じたことを示すものです。

この住宅瑕疵担保責任保険を引き受けるのは一般の保険会社ではなく、国土交通大臣が指定した「住宅瑕疵担保責任保険法人」に限られます。そして、それぞれの保険法人によって保険の名称が異なりますが、その内容はほぼ同じです。

□ 住宅保証機構………まもりすまい保険
□ 住宅あんしん保証………あんしん住宅瑕疵保険
□ 日本住宅保証検査機構………JIOわが家の保険
□ ハウスジーメン………住宅かし保険
□ ハウスプラス住宅保証………ハウスプラスすまい保険   (平成25年10月現在:5社)

法律に定められた資力確保措置は、保険への加入または保証金の供託のいずれかであり、新築住宅の売主や請負人はそのどちらかを選ばなければなりません。一般的には、供給戸数の多い大手不動産会社や大手ハウスメーカーは供託を選び、中小の不動産会社や工務店などは保険を選ぶ傾向にあるようです。これは、供給戸数が多ければ多いほど、供託における1戸あたりの負担が少なくなるメリットがあるためです。いざというときに補償される金額の上限は2,000万円で、これは保険でも供託でも変わりはありません。ただし、一戸建て住宅の保険では、限度額を5,000万円まで引き上げることのできるオプションもあります。

補償を受けられるのは引き渡しから10年間で、その対象は「構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分」に限られますが、この住宅瑕疵担保責任保険(または供託)によって、万一、事業者が倒産などした場合でも買主や注文者が守られる仕組みとなっています。

また、住宅瑕疵担保責任保険の場合には、建築工事中に保険法人による現場検査があるほか、事業者との間で問題が生じたときには住宅紛争処理支援センターによる無料電話相談を利用でき、さらに指定住宅紛争処理機関による紛争処理手続きを安価(1万円の費用負担)で受けられるといった特長があります。供託の場合はこれらを活用することができません。

どのような場合に補償が受けられるのかなどについては分かりづらい点も多いでしょうから、住宅の売主業者や請負人からしっかりと説明を聞くとともに、それぞれの住宅瑕疵担保責任保険法人のホームページなどに記載された説明によく目を通しておくことも大切です。


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