ウルトラモダンな新生GMの大復活の証
コルベットを大胆にモデルチェンジする。それは、新生GMの大復活の証、シンボルとならなければいけない。だからこそ、STINGRAYの復活(日本では残念ながら使えないが)。そんな期待を背負ったC7コルベットは、果たして、世界最高レベルのスポーツカーへと、大きな進化を果たしていた。スポーツカーとして世界の最先端を走る! その意気込みは、スタイリングに現れている。韓国人チーフデザイナーの描いたスタイルは、ずばり、C3コークボトルスティングレイのオマージュ。
もちろん、はやりのレトロモダン仕立てなどではなく、最新のレーシング・エアロダイナミクス技術を用いて、ウルトラモダンに仕上げている。C4からC6まで続いた、ワイド&ローなイメージを一新。より低く、より長く、をテーマに、はっきりとしたキャラクターラインと抑揚のあるフェンダーラインを特徴とし、しかも、3世代の個性であったガラスハッチもパフォーマンス向上のために、積極的に捨て去った。誰が見ても新しいカタチでありながら、しっかりとコルベット(スティングレイ)になっている。
インテリアも、“うそ、これがベットのインテリア?! ”と、思わず叫んでしまったほど、見栄え質感の向上が著しい。コルベットのインテリアといえば、先代C6の途中でボブ・ラッツ現場介入のレザーラップ仕立てに変更されたものの、どこかプラスチックの安物製というイメージが強くのこったし、C5までは実際に、そうだった。C1からC3までの、あの個性豊かで素晴らしいインテリアデザインは、C4以降で見る影もなく、それはちょうど、GMという企業の衰退とも重なっていたように思う。
だから、C7では、内外装ともに、C3以前の精神を取り戻そうとした。完全コクピットスタイルの運転席は、フルラップレザーのダッシュボードフェイシアに囲まれ、アルミニウムやカーボンファイバーといった高級マテリアルが惜しみなく投入されている。それは、正にワールドクラスの高級スポーツカーインテリアだ。イタリアンスーパーカーにだって、派手さで負けることはない。
シートもよくできている。骨格はマグネシムで軽量かつ強靭。ベンチマークをポルシェとレカロにおき、サポート性にこだわった。
センターコンソールには、ドライビングモードセレクタのダイヤルが見える。ついに、コルベットも、こういった先進の電子デバイスを使うようになった。逆にいえば、それだけ、スポーツカーとしてのパフォーマンスが現代的に高くなっているということの、それは証拠であろう。
モードは5種類。ウェザー、エコ、ツアー、スポーツ、そしてトラック。デフォルトはツアー。モードに合わせて、ステアリングアシスト、スロットル開度、燃料マネージメント、エグゾーストモード、マグネティックライド(装着車)、トラクションコントロールにスタビリティコントロール、そして、メーターディスプレイの組み合わせが変わる。また、ABSやeデフのチューニングを、タイヤ温度に応じて変えるという、世界初の試みも……。
最新技術はまだまだある! 7MTにはレブシンクロ機能が備わり、LT1 6.2リッター可変バルブ直噴V8エンジンには、気筒休止システムもはいった。最高出力は堂々の460ps、最大トルクに至ってはLS7 7リッターV8の実用域トルクと同じ数値、640Nmを誇る。ちなみに、気筒休止時、すなわちV4状態では、126ps/300Nmで、およそ100マイル/時(161km/h)までが可動域だ。エコモードでの高速走行では、12km/l以上が望めるというから、燃費性能の向上も著しい。
最新のパワートレインを積み込むボディフレームも今回、一新された。C6の高性能モデル、Z06やZR1と同様に、オールアルミニウムフレームとし、従来用にくらべ45kg軽く、57%硬くなった。ちなみに、エンジンフードとデタッチャブルトップはCFRP製で、こちらも軽量化に役立っている。
そして、もうひとつ、忘れてはいけないスペック解説があった。それは、同時投入されたZ51パッケージの存在だ。
エンジンをドライサンプ化し、ハードな走行時における潤滑性能を担保。ノーマルの機械式LSDにかえてeデフを。マグネティックライド装備可能な45mmモノチューブショック(ノーマルは35mm)に、大口径ブレーキローター、そして、インチアップタイヤ&ホイール(鋳造 → 鍛造)、という贅沢なセットオプションだ。
その効果は絶大。乗った印象は後ほど記すが、カタログスペックだけ先にお伝えしておくと、0→97km/h加速3.8秒、“ゼロヨン”12秒、を記録する。