投資信託/NISA(日本版ISA)とは?その活用法

NISA&定期預金の経済メリットは?

いよいよNISAの口座開設がスタートしました。証券会社、銀行ともにさまざまなキャンペーンを打ち出して、顧客の囲い込みを熱心に行っています。そのキャンペーンのなかでも、銀行が打ち出しているのが定期預金との組み合わせによるキャンペーン金利です。果たして、そのメリットはいかほどのものでしょうか。

鈴木 雅光

執筆者:鈴木 雅光

投資信託ガイド

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NISAの高金利キャンペーンにメリットはあるのか?

メリットを考えてNISA口座を開設しよう

メリットを考えてNISA口座を開設しよう

たとえば三井住友信託銀行の場合、12月30日までのキャンペーン期間中にNISA口座を開設した場合、1人1回のみ、預入金額10万円以上100万円以内の定期預金について、3ヶ月ものの金利を年1%にするというキャンペーン金利を提示しています。これを事例にして、どれだけこれが利用者にとって経済的メリットにつながるかということを、考えてみましょう。

仮に、定期預金は上限の100万円目一杯預け入れたとします。100万円に対して1%の利率ですから、利息は1万円です。

が、これはあくまでも1年間預けた場合の話。キャンペーンの対象は3ヶ月もの定期預金に限定されていますから、実際には1万円の4分の1が、受取利息になります。つまり2500円です。

ここからさらに20%と特別復興所得税が課税されます。言うまでもなく、定期預金はNISAの対象ではありません。したがって、手取りは2000円になります。

年利1%というと、この20年間続いた超低金利しか見て来なかった人からすれば、それでも十分に高いということになるのかも知れませんが、手取りの額で考えると、この程度でしかないのです。

このキャンペーン金利をエサにして、銀行はNISAで投資信託を買わせようとしているわけですが、そのコストはいくらになるでしょうか。たとえば100万円で日本株のアクティブファンドを買ってもらったとすると、販売手数料が2%ですから、これだけで銀行には2万円の手数料が入ります。加えて、運用管理費用のうち代行手数料として、銀行に落ちるフィーもあります。

ちなみに年間の運用管理費用の料率が1.5%だとすると、多くのファンドはその半分を代行手数料にしていますから、0.75%が銀行に落ちることになります。100万円の0.75%といったら、7500円です。つまり、銀行は最初の年に、合計で2万7500円の収入が得られるのです。逆に言えば、それは顧客が支払ったコストになります。

「キャンペーン金利」などと、いかにもおトク感満点というイメージで、銀行は広告展開をしていますが、結局のところ銀行が負担するキャンペーン金利は、上記の事例で言えば、たったの2000円。それに対して、得られる収入は2万7500円で、差し引き2万5500円が、銀行にとっての売上になるわけです。

いかにキャンペーン金利が下らないものであるかが、こうして計算していくと、よく分かります。はっきり言えることは、利用者にとっての経済メリットは皆無に等しいということなのです。

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