リノベーション/リノベーション実例

郊外リノベで身の丈の家『埼玉県 須藤邸』家づくり編

郊外の中古マンションは都心部の物件に比べて価格が手頃な分、リノベーション費用を加えても、リーズナブルな住宅購入が望めます。都心部へのアクセスが良好な立地にある埼玉県内の中古マンションを購入し、600万円でフルリノベーションした須藤邸。セルフビルドの採用や施主支給など、そのコストダウンテクニックは要注目です。

執筆者:佐藤 可奈子


ともに30代前半の須藤剛さん、由紀恵さんご夫妻が購入したのは、築27年、約60平米の中古マンション。大幅な間取り変更をせずにリノベーションできる、理想の間取りに近い物件をセレクトしました。設計は、設計事務所を主宰する剛さんが自ら担当。「家づくりの工程を体験したい」という理由から、施工は「自分たちの手で」空間づくりをする『HandiHouse project』に依頼して、二人三脚の家づくりに取り組みました。

「購入編」では、須藤邸の住宅購入の経緯をレポートしています。

間取りを大きく変えないことで、コストダウンを狙う

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コンクリートと木の素材感が落ち着きを与えるリビング。フローリングは幅広のメープル材


― 現在のお住まいのリノベーション前の状態はどのようなものでしたか?

由紀恵さん:独立したキッチンとリビングダイニング、個室が2つある2LDKでした。玄関からリビングダイニングへ続く廊下やキッチンは狭くて暗く、個室のひとつは和室。比較的きれいな内装でしたが、好みではありませんでした。

― 物件探しをする際は、理想の間取りに近い物件を探されたとのことでしたが、どんな空間にリノベーションしたいとお考えだったのですか?

剛さん:広いLDKと、僕のアトリエ、寝室という間取りにしたいと思っていました。この物件を見つけたとき、キッチンの壁を壊せばバルコニーまでつながる広いLDKをつくることができるし、2つの個室はアトリエと寝室にできるな、というイメージがぱっと浮かび、購入を決めました。間取りも、水まわりの位置も、変更部分が少ないほうが工事の手間が掛からず、コストも押さえられます。
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シナ合板とラワン合板で造作した、リビングの壁面収納


― リノベーションの設計は、剛さん自ら手掛けられたそうですね。プランの詳細はどのようにして決めていったのですか?

剛さん:「妻がクライアント」「夫が設計士」というスタンスで進めていきました。妻の希望をリストアップし、そこに僕の希望や提案を盛り込みながらプランをつくっていきました。

― 物件の購入からプランを決めて、工事を開始するまではどのくらいの期間を要しましたか?

剛さん:2ヶ月ほどです。設計と工事の期間は、住んでいた賃貸マンションの家賃と購入した家の住宅ローンの二重払いを避けるため、一時的に妻の実家に間借りしていました。

― マンションの管理規約からの内装制限などはありませんでしたか?

剛さん:それは特にありませんでしたね。


>次ページでは、「セルフビルド」での家づくりを望んだ理由を伺いました。
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