トルコの食べ歩きの定番! シミットとポアチャ
チャイとシミット、トルコ人にとってなくてはならないセット
割とお腹にたまるポアチャは女子に人気
トルコ人は朝食をとても大切にする民族。時間さえあれば色々な朝食ネタをテーブルに並べて2~3時間はかけてゆっくり朝食を取るのが基本です。ただ、やっぱり都市部で9~18時で働く人たちにとって、平日にそんなぜいたくをすることはなかなか難しいもの。そういう、朝忙しいたちがとりわけ朝食として好むのが「シミット」と呼ばれるドーナッツ型のゴマパンや「ポアチャ」と呼ばれる具入りの柔らかスコーン的惣菜パンです。
この二つは朝食のみならず、小腹がすいた時やおやつとしても好まれているし、歩きながらパクパクできる食べ歩きの王様でもあります。トルコの街かどにはいたるところにシミットやポアチャの屋台が出ていて、ある意味トルコの風物詩的存在です。
ドーナツ型のゴマパン、シミット
トルコで一番よく見かけるのがシミットの屋台
こんなシミット売りも時々います
シミットとは、ふんだんにゴマがかかっている丸い輪の形をした塩味系のパン。外側はパリッと固く、中はしっとりというのが理想のシミットで、屋台のシミット売りも「パリパリシミットだよ! オーブンから出たばかりだよ!」……と叫ぶのが売り文句になっています。実際、オーブンから出たばかりのものはまだ熱くてゴマのいい香りがぷんぷん。
このシミット、歴史をさかのぼれば15世紀のオスマントルコ帝国の宮廷の台所の仕入帳にもその名が見られるほど古く、今でもトルコ人の生活に深く浸透しています。トルコにたくさんある屋台の中ではシミット率が一番高く、中には頭の上に何十個ものシミットを乗せたり、長い棒にいくつもシミットの輪を通したりしている昔ながらのシミット売りも健在。
アンカラのシミットはとりわけ有名で、他の地域に比べて細めで焼き具合が濃いのが特徴。それだけパリパリ感も格別で、個人的にとても好きなシミットです。この他、最近ではごまの代わりに炒ったひまわりの種の中身がまぶしてあるシミットもあり、これがまた絶妙なおいしさ。こちらはイスタンブールのオシャレレストランなどでブランチメニューに並んでいたりします。
レストランで注文すると、こんな小洒落なシミットが。
シミットは基本中に何も入っていないシンプルなパンなので、色々な食べ方があります。例えばバターやクリームチーズを塗る食べ方は働いている人たちに人気があり、オフィス街で売っている朝のシミット屋台ではミニパッケージのクリームチーズやバターも一緒に売っています。また、イートインのパン屋ではシミットにとろけるチーズをはさんで軽く焼いてからサービスしているところも。この他トルコ特有の濃厚ヨーグルトをつけて食べる方法もトルコらしくて意外なおいしいさです。そしてシミットと一緒に飲むのは必ずチャイ、となぜか決まっています。
普通のシミットよりやや小ぶりでさくさくなごまクッキー、カンディルシミディ
宗教的な日にもシミットが食べられます。イスラム教には太陰暦で年に5日、カンディル(灯明祭)と呼ばれる聖なる日があり、この日は町中のお菓子屋さんの店頭に「カンディルシミディ(カンディルのシミット)」という特別なシミットが箱入りで並び、みなこれを食べたり近所に配ったりして祝います。このカンディルシミディはパンとうよりは、甘くないサクサクごまビスケット、という感じでこれまた美味。カンディルにトルコを滞在するならぜひお試しあれ。