■急速充電
普通充電の難点は、単層200Vを利用してもバッテリーが空の状態から満充電までに数時間要することです。外出先での充電で、長時間待っていられる人は少ないかと思われます。
そこで電気自動車のバッテリーへ高電圧・高電流で電気を供給し、短時間で充電可能な三相200Vの急速充電器に注目が集まっています。バッテリーの容量により充電時間は変わりますが、一般的なものですとバッテリーがほぼ0%の状態から満充電の80%まで、バッテリーメーカーの性能にも左右されますが約30分で充電が可能です。充電方法としては普通充電と同じで、充電用コネクタを車に差し込み、充電開始ボタンを押すのみです。
(図)NEC HPより急速充電器と普通充電器
急速充電の利用シーンとしては、自宅で充電をし忘れ、ほとんどバッテリー残量がないなどといった緊急時や、長距離ドライブや仕事などで車両を頻繁に利用する場合などの利用が想定されるでしょう。急速充電に関しては、その充電スピードの速さから、すでに、一部のガソリンスタンドやショッピングセンターで国からの補助金も相まって急速充電器の設置が始まっています。
・CHAdeMO方式
急速充電の制御に関する規格はいくつかありますが、CHAdeMOと呼ばれる充電方法が代表的です。大きな電圧をかけて急速充電をする際には、安全性を担保するための制御が重要になってきます。CHAdeMO方式の充電方法は2010年3月に大手自動車メーカー4社と東京電力によって設立されたCHAdeMO協議会が中心となり、積極的な活動を行っています。
同協議会は電気自動車に最適な急速充電を行うための急速充電方式(CHAdeMOプロトコル)の国際標準化を目指しており、仏PSAや独ボッシュなど海外企業も参加し、その動きは日本国内に留まりません。
私もCHAdeMOの正会員になった経験もあり、製造する電気自動車にはバッテリーの状態を常に把握することのできる、VCU(ビークル・コントロール・ユニット)=ECUが搭載されてた車両でなければ急速充電には対応できません。急速充電ではVCU(ECU)が充電中に通信機能より電池状況を常に把握し、必要な電流を供給するため、長年のノウハウを持った会社でなければ、CHAdeMOに対応することは大変難しい課題であると考えられています。
CHAdeMO 協議会によると2009年から2013年の急速充電器の保有台数の推移は以下のようになっています。
(図)CHAdeMO方式について
電気自動車用急速充電器の設置数は、2013年7月5日時点で、日本だけで、1716基、世界で2,703基が設置されています。日本国内だけでも、2009年11月の 95基から、約 4年で約18倍もの整備が行われています。
これらの数値は、インフラ整備が進み電気自動車の普及期が着実に近づきつつあることをしています。
さらに、日産自動車も電気自動車の普及に向けて、急速充電器を約60万円、政府による補助金を利用すれば約32万円という価格発売をしており、大手カーメーカーもインフラ整備に力を入れています。