【江津】石州 嶋田窯
ギャラリー内の様子。器のバラエティも豊富。 |
続いてさらに島根県西部へと移動します。 石見地方はきめの細かい良質な粘土が豊富に採れたことから、昔から水がめの産地として 全国的に知れ渡っていました。防水、耐寒性、耐酸性に優れた土だそうです。 この地域を訪れると、今ではもうあまり見られなくなった、 人の背丈ほどもある大きな水がめが、玄関先に普通にどかんと置いてあったりして驚きます。 石州 嶋田窯は1935年に開窯。現在は三代目の嶋田孝之さん(伝統工芸士)が日常陶器をメインに制作していますが、 大型陶器や水がめの技術も得意とし、ギャラリーの入り口には、大きな壺の傘立てや、 睡蓮鉢などがずらっと並んでいて迫力があります。庭先には、鉢の中に植物やメダカを 入れたものがぽんぽんと無造作に散らばり、使い込まれて少し古びたその姿が 自然と味のある風景を作っていました。
階段の柵も陶器、家のポストまで陶器!
また、ここは石見焼で唯一、登り窯を使用しています。登り窯を見学に行くために 階段を上がろうとすると、その柵も陶器でできていました。 道の途中には招き猫が飾ってあったり、看板も陶板で作られていたり、 暮らしに溶け込んだ焼きものがあちこちにあって、ほのぼのとした気分になります。 5月のゴールデンウィークの時期には「登り窯展」が開催されるそうで(2010年は5月3~5日)、 3日間窯を焚き続けます。ホカホカの器を手に取りたくて、 窯出しを楽しみに集まるお客さんも多いそうです。
石州 嶋田窯
島根県江津市後地町1315
tel 0855-55-1337
9:00~17:00 土日祝休
http://www4.ocn.ne.jp/~yakimono/
【江津】石州 宮内窯
佇まいにも風情があります。右下は宮内謙一さん(伝統工芸士)。 |
最後にご紹介する宮内窯は、山陰本線の都野津駅と敬川駅の間にあり、産業道路から ちょっと入っただけの場所なので、比較的行きやすいかもしれません(すごく広い駐車場もあります)。 住宅街の中のパッと開けた場所に、昔ながらの建物を構え、 外には数え切れないほどたくさんの素焼きされた器が天日干しされていました。 ここにも、お風呂にでもなりそうなほどの大きな水がめがあちこちにどーんとそびえ、 そのインパクトに圧倒されます。 工房に上がり、飛びかんなの模様が施された大きな陶器のテーブルを囲んで、職人さん達と一緒に一休み。 宮内窯は、1970年に宮内謙一さんが開いた窯元です。 水がめや睡蓮鉢など大ものはもちろん、花器や家庭雑貨などバリエーションも豊富で、 鉄釉、飴釉、ワラ釉、そして島根ならではの独特な褐色が美しい来待釉などを使い、多彩な品揃えです。 それらは石見焼の伝統工芸品として指定されています。
体育館のように広い展示スペース。大物から日常食器まで様々で、目移りします。
展示スペースはあまりにも広いので、たっぷり時間を取って迷いたいところです。 価格も手頃で、特にフタ物やすり鉢は種類も多く質の良いものがたくさんありました。 梅干やお漬物を入れるのに丁度良い、様々な模様の小さな可愛い壺がちょこちょこ並んでいて ワクワクします。元々大きな水がめを大量に作っていたせいか、壺はお得意ジャンルのようです。
石州 宮内窯
島根県江津市二宮町2211-3
tel 0855-53-0304
島根県の器は、以下でも購入することができます。
島根県物産観光館
島根県松江市殿町191
tel 0852-22-5758
http://www.shimane-bussan.or.jp/
にほんばし島根館
東京都中央区日本橋室町1-5-3 福島ビル1F
tel 03-5201-3310(総合案内)
http://www.shimanekan.jp/
島根県のお隣、鳥取県へもどうぞ。窯元巡りの記事はこちら。
鳥取の手仕事を巡る旅2 陶芸窯元巡り1 (岩井窯)
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