絵本/絵本関連情報

ハロウィンが待ちきれない子におすすめの絵本(5ページ目)

少し前まで、日本では馴染の薄かったハロウィンですが、絵本の世界だけは別ですね。かぼちゃのおばけや怖ろしい魔法使いが、絵本の中で大活躍しています。お祭りを待ちきれない子におすすめのハロウィン絵本をご紹介します。

執筆者:大橋 悦子

真っ赤なハイヒールに網タイツをはいて『はしれ! かぼちゃ』

絵本『はしれ!かぼちゃ』の表紙画像

網タイツで走るかぼちゃに目が釘付けの奇想天外な昔話

最後にご紹介するのは、世の中にかぼちゃがあふれるハロウィンの時期にぜひ読んでいただきたいポルトガルの昔話『はしれ! かぼちゃ』です。真っ赤なハイヒールに網タイツをはいて走る奇妙なカボチャの正体が気になりますね~。

ある日、おばあさんのもとに孫娘の結婚式の知らせが届きました。喜んだおばあさんは、遅刻をしては大変とすぐに出かけていきました。ところが、途中で怖ろしいオオカミとクマとライオンに出会います。食べられそうになるのを何とか切り抜けたおばあさんでしたが、さて帰り道はどうしましょう? 困り果てるおばあさんに孫娘が奇想天外なアイデアを出しました。さておばあさんは、無事帰宅できるのでしょうか……。

ドイツ文学者で昔話の研究をなさっている小澤俊夫先生は、「昔話は3回の繰り返しを好む」とおっしゃっています。『はしれ! かぼちゃ』もまさにその通り。オオカミ・クマ・ライオンという怖ろしい動物たちが3匹登場し、同じ会話が3度リズミカルに繰り返されていて、昔話のお決まりの安心感が全編に漂います。

でも、「お決まりの」という形容詞が付くのはここまでです。力強くインパクトのあるイラストはとても現代的で、このお話が昔話であることさえ忘れてしまいそうです。孫娘の結婚を喜ぶおばあさんの顔や、カッと目を見開いて怖ろしげなのになぜかチャーミングな動物たち、そして見返しに描かれた表情豊かなジャックオランタンの数々までもが、いずれ劣らぬ迫力で見る者を飽きさせません。

古き良きものと新しきものが混ざり合って独特の雰囲気を醸し出した、愛すべき昔話絵本です。


【書籍DATA】
エバ・メフト:作 アンドレ・レトリア:絵 宇野和美:訳
価格:1620円
出版社:小学館
推奨年齢:4歳くらいから
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