TOEICとTOEFLの違い1. 受験目的
TOEICとTOEFLの違いとは?
一般的にTOEFLはアメリカで有意義なキャンパスライフを送るために必要な英語力がどれくらいあるか、を120点満点のスケールで測定するのに対して、TOEICでは、日常の生活で英語がどれくらいわかるか、を990点満点のスケールで測定しています。ですから、TOEFLでは、アウストラロピテクスとネアンデルタール人がどのように違うかという700語のパッセージを読みますし、幼児の絵を描く能力がどういう段階を経て発達していくか、について1分間で話すことなどが求められます。どちらも大学の一般教養の授業では欠かせません。
これに対して、TOEICでは、デパートでの案内を聞いたり、ホテルのサービスのアンケートを読んだりして、質問に答えます。(TOEICが「ビジネス英語」ということを強調することもありますが、TOEFLとの対比で言えば、「日常会話」というほうがしっくりくるかと思います。TOEFLには、リーダーシップ論や、人事・組織、資本主義などのテーマもあることを考えると、やはりTOEICは日常会話の域を出ていません。)このように、受験生の目的は大きく異なります。留学をしたいのに、TOEICを受験するのは的外れだし、日常会話を勉強しているのにTOEFLを受験しても能力の測定はできません。
TOEICとTOEFLの違い2. 試験形式・内容
TOEFLでは、Readingからはじまり、Listeningそして休憩をはさんで、Speaking, Writingと続きますが、TOEICでは、Speaking, Writingはオプショナルです。その他の形式面について一覧にしてみましょう。 まずはReadingから。TOEFL...大学の教科書レベルの、700語程度のパッセージを読んで、45問程度の内容に関する質問に、基本的には4択で答えます。文法問題はありません。
TOEIC...広告やメールなどの、100語程度のパッセージを読んで、48問の質問に、4択で答えます。このほか、文法問題が52問あります。
次にListeningを見てみましょう。TOEFL...800語ほどの、大学の講義・ディスカッションなどを聞いて、合計34問ほどの質問に、基本的には4択で答えます。メモをとってもかまいません。ヘッドセットで各自1回だけ聞きます。
TOEIC...120語ほどの、広告やアナウンスなどを聞いて、合計100問の質問に、4択および3択で、答えます。メモはとれません。教室で一斉に1回だけ聞きます。
この比較は、とてもおおざっぱですが、それでも、違いはお分かりいただけるでしょう。大学の教科書を読まなくても(アメリカ人でさえも!)日常生活は送れますね。だから、一般的に必要な英語力としては、TOEICのほうが正しく測定されていると言えるかもしれません。
TOEICの文法の測定方法
ただ、TOEICの600点程度の受験者が最も重視するべき項目が、PartV, PartVIの文法問題で、しかもそれがReading全体の半分以上を占めるテストで、果たして、「日常会話」のリーディング能力を正しく測定できているか、という疑問は残ります。文法を無視するわけにはいきませんが、このあたりの「体感」の問題を解決しないことにには、TOEIC自体のテストとしての妥当性も疑われ続けるかもしれません。「文法問題やればなんとかなるテストだよ」なんて。「体感」に基づくTOEIC→TOEFLスコア換算表
その「体感」ですが、ちまたにはTOEICで何点の人がTOEFLでは何点にあたる、などという換算表が出ているようですが、まず第一に、この換算表の意味はほとんどありません。TOEFLのスコアを出せと大学に要求されたとき「TOEICでは900点なんで、それをTOEFLに換算してください!」という主張ができないからです。ですから、できるだけ現実に即した「換算表」を知っておくほうが、今後の勉強の目安にもなることと思います。おそらく、最初にTOEICを受験して、そのスコアでTOEFLのスコアを予測するほうが多いケースだと思いますので、TOEICでこれくらいとれたら、だいたい、TOEFLではこれくらい、という換算表を作るとこうなります。
換算表を例で表現すると……。まずは、TOEFL=100以上をとって、大学院留学をする受験生にとっては、TOEICでは測定しきれない英語の能力を保持していることが求められます。針が振りきれているわけです。また、上智大学国際教養学部に進学するにはおよそTOEFL=80が要求されます。つまり、この学部生にTOEICを受験させると、全員900台をとることでしょう。だいたい、そういう感じになります。
多くの方はTOEICで高得点をとったあとで、TOEFLを受験してその差に愕然とします。 けれど、それは、そもそも測定している能力が違うのであって、そのせいでスコアが出ていないだけです。テストを受けるときには、そのテストが何を測定しようとするもので、どのように採点されるかを調べることが大切なのは、そういう意味です。明確な目的意識を持って、準備し、試験に臨みたいものですね。
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