4/4 間違いだらけのキッチン選び Vol.2 [キッチン] All About

間違いだらけのキッチン選び！

Vol.2 システムキッチンを一言で説明できない訳？

1980年代は、このように日本のシステムキッチン市場が開花した時期でもあり、年間200万戸に迫る新築住宅着工件数の伸びと合わせて住宅設備機器産業の活性化で大いににぎわったものです。年間80万戸を切る現在は、当時の約1/3にまで市場が縮小したと言えます。

このような状況の中、真にユーザーニーズに応えられるシステムキッチンとは何なのか？その真価を問われるようになっているのだと思います。

最近では、このようなJIS規格の概念を払拭したオーダーメイドキッチンが全盛を迎えているのも、このような背景に基づいている訳です。

3種のシステムキッチン例　1981年伊奈製陶システムキッチン　 Design by HIDEWO KURODA

埼玉の住設機器販売会社「ソーゴー」のシステムキッチンショップ「DOMANI」。
イタリアBOFFIのシステムキッチンを日本で最初に輸入販売。
BOFFIも2種のシステムキッチンに相当する。
Total Produced by HIDEWO KURODA

ヤマギワ世田谷店に続いて、ヤマギワリビナ本店開店1983年　　 Design by HIDEWO KURODA　
地下売り場では8社・13モデルのシステムキッチンを大々的に展示し、システムキッチン市場拡大に大いに貢献した。

1984年クリヤマがはじめた輸入システムキッチン事業の総合プロデューサーとして、イタリアSNAIDERO社のキッチン導入、ショールーム展開、販売コンサルティングなどを手がけた。
スナイデロのシステムキッチンは2種のシステムキッチンに分類される部材型システムである。　Total Produced by HIDEWO KURODA

現在日本のシステムキッチンが、いろいろ誤解されたまま流通している背景は以上の理由にあります。

特に、日本のシステムキッチンメーカーは基本的に”自社ブランドを付けたOEM機器以外の、ガスクッカー、IHクッカー、食器洗い機、レンジフード等のビルトイン機器類に他社製品は使うことができない”というクローズドシステムで販売されています。

本来、システムキッチンの最大の特徴は、自分のライフスタイルに合わせたビルトイン機器を自由に選択できるオープンシステムにあるため、そのメリットを否定してしまっている点が残念でなりません。

ドイツを初めとする世界中のキッチンメーカーが、Poggenpohl（ポーゲンポール）やSieMatic（ジーマチック）のような「キッチン家具メーカー」と、Miele（ミーレ）やAEG（エーイージー）のような「キッチン機器メーカー」とに専業が分かれていながら、家具と機器とが同じ寸法モデュールで作られているために、お互いに互換性があり、違うメーカでも長期的なメンテナンスや製品交換にもそのまま対応できるというシステムキッチンの最大メリットがあります。国産メーカーもオープンシステムの考え方を取り入れるべき時期がそろそろ来ているように思います。

これから、リフォーム、住宅新築計画、マンション購入等でシステムキッチンの問題に行き当たったときは、ぜひここに書いた事柄をよくご理解の上、キッチンメーカーやハウスメーカー、デベロッパー、建築家の人たちに正しい要求を出して、自分の生活に最適なお気に入りのキッチンづくりに役立てていただきたいと思います。

これからも、新しい時代の食生活と、家族のコミュニケーションというふたつの課題にどのように取り組んでいくべきか、キッチンデザインや設計、施工を担当する方ばかりでなく、様々な段階でキッチンに関わる皆様と、どんなキッチンを作り上げるのが最適なのか悩んでおられる皆様にとっても役立つお話を続けたいと思います。

◇間違いだらけのキッチン選び　「 Vol.1システムキッチンって何？」のキッチンガイド記事も併せてご覧ください。