オルタナティヴ・カントリーというジャンルへの先駆者
■アルバム名スケアクロウ
■アーティスト名
ジョン・クーガー・メレンキャンプ
■おすすめ理由
最初は派手で煌びやかなロックサウンドに魅了されるのが世の常で、年齢とともに質素で飲み込みやすいものを求めるという傾向があります。
それは食文化とも似ていて、若い頃は脂っこいものも平気だったが、歳を取るにつれて煮魚が好きになったり、もっと野菜を摂ろうと思い立つあの感じです。
80年代、パンクやヘヴィ・メタルがシーンを席巻する中で、きっとアーシーでカントリーやブルースに根付いた音楽を追求してたのは、ジョン・クーガー・メレンキャンプしか思い当たらないのです。
そういう意味で彼こそが、その後登場するオルタナティヴ・カントリーというジャンルへの先駆者になるのかもしれません。
1970年代半ばに「トラッシュ」というグラムロック・バンドで活動し、デヴィッド・ボウイの敏腕マネージャーだったトニー・デフリーズに見出されてデビューします。
化粧をし、芸名をジョン・クーガーと名乗りますが、意に沿うものではなく、まもなくレコード会社を移籍します。
本来彼がやりたかった音楽はカントリーやトラディショナル・フォーク、ブルース等に接近した正統派アメリカン・ロックでした。
1985年に発表されたこの「スケアクロウ」からは「Lonely Ol' Night」「Small Town」「R.O.C.K. in the U.S.A.」等のシングルがトップ10入りし、名実ともにアメリカの国民的シンガーへと登りつめます。
何の変哲もないギターのドライヴ感、乾いたスネアドラムの音、アコースティックの響きなのに、これを真似しようにも大抵は上手く表現出来ず、その辺のサウンド・イクイップメントは、この人ならではなセンスなのかもしれません。