『くつくつあるけ』に登場するのは1足の靴のみ。しかし、その躍動感ある表情豊かな動きが、読む人それぞれの自由なイメージを引き出します。靴の動きから自然に想像が膨らむ、人々の表情や周りの景色を楽しんでみましょう。あんよが始まって外遊びが楽しくてたまらない、小さなお子さんの興味もひきつける絵本です。

登場するのは1足の靴のみ

白地に黄色い靴ひもの小さな靴。この靴がこの絵本の主人公であり、唯一の登場人物(?)です。

最初のページ。
「くつくつ あるいた
ぱた
ぱた ぱた
さんぽに おでかけ」

張り切って靴をはいて、最初の一歩を「ぱた」と出した後、お散歩への期待を込めて、「ぱた ぱた」と2歩、3歩、足を前に進めます。細かな行替えからも、はいている子どものワクワクした気持ちが伝わってきます。

次のページ。
「ぱたぱたぱたぱた
はやい はやい」

切れ目のない「ぱたぱたぱた」から、勢いづいてきて早足になっていく様子が目に浮かびます。1足の靴が、読み手と聞き手も一緒に、お散歩に連れて行ってくれますよ。

特別な1足「ファーストシューズ」

よちよち歩き

ファーストシューズでよちよち歩き

張り切ってお散歩に出発し、小走りになったりジャンプしたり、バランスを崩してしまったり。転んでしまってから1人で起き上がるのにも、「よいしょ どっこらしょ」と体が重そう。この絵本に出てくる靴は、どうやらファーストシューズのようです。赤ちゃんが自分の足で歩き出すという大きな「進化」をサポートする、ファーストシューズ。親にとっても思い入れが深いものですね。

子どもの足の大きさの成長は本当に早い! 成長するにつれて動きがどんどん激しくなり、靴の傷みも早くなることも加わって、数ヵ月に1回のペースで新しい靴を用意しなければならない時期も続きます。何年もたったら、我が子が今までどんな靴をはいてきたかを、すべて思い出すのは至難の業ではないでしょうか?! でも、ファーストシューズのことは、鮮明な記憶として残っている方も多いのではないかと思います。

お子さんが歩き出しの頃だったら、お子さん自身も自分と重ね合わせて絵本に入っていくことができるでしょう。次々ページをめくろうとしたり、また前のページに戻ったりページを飛ばしてめくったりしながら、靴の動きに夢中になるお子さんの様子が見られるかもしれません。

余白が想像力を刺激する

1足の靴だけが登場するこの絵本。読む側も、ただ靴の動きだけを追わずに、その靴をはいている子どもや、周りにあるもの、地面の状態、それらを見守る大人の存在を、無意識のうちに想像させられます。きっと、絵を見ている子どももそうでしょう。シンプルでありながら、「書かれていないこと」「描かれていないこと」への想像力を膨らませてくれるこの絵本は、絵本という存在に興味を示し出すことも増えてくる、1~2歳のお子さんたちにもおすすめしたい1冊です。

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