マネジメント/組織マネジメントとは

カネボウ、JR北海道に見る「組織風土」腐敗の7S解析(2ページ目)

カネボウの白斑問題、JR北海道の杜撰管理問題は、いずれもそれぞれの「組織風土」が根本原因として指摘されています。ひとつ間違えると、組織マネジメントを根底から崩しかねない「組織風土」とはいかにしてつくられ、不敗等の問題発生時にはいかに立て直しをはかるべきなのか。実践的なケーススタディとして解説します。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

JR北海道の問題も状況はまったく同じです。事故が多発していた直接の原因として、レールの異常を大量に放置していたということが既に判明しており、恐らく今後詳しい放置に至る原因究明と再発防止の対応策が講じられることと思います。しかし、これらの対応もまたそこでことを済ませてしまうなら、単なる「社内システム」の改善にとどまってしまうでしょう。メディアからも指摘されている「組織風土」改革を断行しての抜本解決につなげるためには、トップを中心とした「価値観」の再構築と「人材」への浸透が不可欠なのです。JR北海道が本当の再発防止に取り組めるか否かは、それが出来るか否かにかかっていると言っていいと思います。

日航再建は「組織風土改革」の成功例

解説

日航のスピード再建は組織風土改革の賜物

「組織風土」改革の成功例は、本ガイドでたびたび登場している日航再建に見ることができます。セクショナリズムが横行し顧客の存在を忘れた典型的な悪い官僚組織風土のまま破綻した日航は、「価値観」の抜本的入れ替えを目的として外部人材により経営陣を刷新し稲盛和夫氏をその中核に迎えることでフィロソフィー重視の新たな「価値観」を構築します。同時に「価値観」に裏打ちされた独自の「アメーバ管理」を導入し「社内システム」を抜本的に見直し。氏自らフィロソフィー教育による幹部社員との「価値観」共有を軸として「人材」への浸透をはかり、それを驚くほど短期間になし得たのです。「組織風土」改革は5~10年単位で取り組む根気のいる仕事になるのが一般的なのですが、短期間になし得た日航のケースからは学ぶべきものは多いのです。破綻した日航の短期間での復活再上場は、「組織風土」の抜本改革なくしてはあり得なかったと言っていいでしょう。

長い組織活動の中でいつの間にかその組織を支えてきた「価値観」が曇って、「組織風土」に由々しき問題は発生するのは、ある意味歴史ある組織の宿命と言えるのかもしれません。カネボウやJR北海道が、今回の問題を機に果たして生まれ変わり再び輝きを取り戻すことができるか否かは、日航のような「価値観」「人材」「社内システム」に調和のとれた改善をすすめられるか否かにかかっているでしょう。
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