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マンションの大規模修繕工事

マンションの大規模修繕工事は、建物を維持するうえでとても大切なことです。そのためには、適切な額の修繕積立金が集められることも欠かせない要素となります。それでは、大規模修繕工事ができないマンションはどうなってしまうのでしょうか。実例写真を見ながら考えてみましょう。

執筆者:平野 雅之


マンションにとって、定期的に実施される大規模修繕工事はとても重要なものです。外壁の修繕だけでなく共用配管の取り換えやエントランスなど共用部分の改修、新規設備の導入など、その工事内容は多岐にわたりますが、今回は主に外壁の大規模修繕工事についてその必要性などを考えてみることにしましょう。

マンションの大規模修繕工事

大規模修繕工事中はシートに覆われる


マンション外壁の大規模修繕工事をするときには、建物全体をシートで覆う場合が多いでしょう。窓やバルコニーからの眺望が長い期間にわたって遮られますが、それは仕方のないことと諦めるしかありません。将来、永遠に劣化しない素材や工法が開発され、それがリーズナブルに導入できるようになれば変わるかもしれませんが、現状ではマンションの宿命ともいうべきものです。

マンションの大規模修繕工事

足場の設置費用はそれなりに高い


このとき、全体に作業用の足場が組まれますが、その設置費用はかなり高額になりがちです。大規模修繕工事費用は、単純に「外壁の修繕代と人件費だけ」というわけにはいきません。足場を組むことが難しい高層・超高層マンションでは、1~2フロア分の作業用足場を吊り下げて工事が行なわれる場合もあります。

マンションの大規模修繕工事

高層マンションの大規模修繕工事では特殊な工法がとられる


大規模修繕工事の前に外壁の状態が入念にチェックされますが、外見上は異常がないようでも、専門の人が調べることで外壁タイルの浮きや塗装のはがれ、亀裂などが多く見つかります。

マンションの大規模修繕工事

大規模修繕工事前に外壁の状態が入念に調べられる


外壁に異常があったからといって、それが建設工事のときにおける工事不良や欠陥だというわけではありません。真夏の直射日光や冬の厳しい寒さ、暴風雨などにさらされ続ける外壁に経年劣化は避けられないのです。そのため、それらが悪化して建物本体に影響を及ぼす前に手当てをしてあげるのが大規模修繕です。そのタイミングが遅くなればなるほど症状の悪化が進み、工事費用がかさむことにもなりかねません。

マンションの大規模修繕工事

工事のタイミングが遅いと、不良箇所が外壁全体に及ぶことも


しかし、大規模修繕工事が実施できればまだ良いほうかもしれません。世の中には修繕積立金の不足で大規模修繕や、それ以前に外壁の清掃なども行なわれないマンションが少なからず存在しています。タイル貼りの外壁でも、苔が生えて緑色になっていたり、雨垂れで変色していたりする場合があるでしょう。

マンション外壁の苔

苔寺の石畳の苔は素敵でも、マンションの苔に風情はない

マンション外壁の汚れ

外壁の汚れは中古マンションの検討者にも敬遠される


外壁が見るからに汚れたマンションは、中古で売ろうとしてもなかなか思うような価格では売れないでしょう。それが洗い流せるような汚れのうちはいずれ何とかなるかもしれませんが、さらに放置されると鉄部のサビが流れて、外壁が茶色に変色するようになります。このような状態になってくると、外壁の変色だけにとどまらず、表面のコンクリートが中性化して剥落し、鉄筋が露出してくることも少なくありません。

マンション外壁の汚れ

サビが流れ出すような状態は末期的?

マンション外壁の汚れ

コンクリートの剥落や鉄筋の露出も始まる


これらは決して古いマンションだけに限った話ではなく、築浅のマンションでもよく見ると外壁にひび割れや亀裂などが生じていることがあります。建設時の工事不良が原因であれば、デベロッパーが責任を持って直してくれる場合もあるでしょうが、原因が特定できないなどの理由でそのままになってしまうことも考えられます。そのとき管理組合に十分なお金がなく直すことができないままであれば、やがて深刻な状況を引き起こす場合もあるでしょう。

マンション外壁の亀裂

外壁の亀裂などはすぐに直したいもの


外壁に大きな問題がなくても適切な時期に適切な大規模修繕工事ができること、さらに、大きな問題が生じたときはすぐに適切な対処ができることがマンションにとって重要な課題です。そのためには、修繕積立金などがしっかりと集められなくてはなりません。毎月の負担は少ないほうが良いものの、修繕積立金に関しては「安過ぎないこと」が大切です。

新築マンションの場合には、あらかじめ予定された大規模修繕工事の計画スケジュールや積立のシミュレーションなどをよく確認するようにします。中古マンションの場合には、今後の計画とともに「現在の積立額」など、会計内容を確認することも欠かせません。


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