産後の基礎知識/産後のトラブル・悩み

出産後の親との関係……健やかな産後の環境を整える3つのステップ

出産後、親との関係や義両親との関係性に悩んでいませんか。産後に限らず「親との関係性」に悩む方は少なくありませんが、里帰り出産などで表面化する、産後特有の悩みがあるのも事実。今回は、この時期に親との関係性が悪化する理由と、健やかな産後の環境を整える3つのステップを紹介。

執筆者:丑田 香澄

出産後の親との関係……健やかな産後の環境を整える3つのステップ

出産後の親との関係……健やかな産後の環境を整える3つのステップ

出産後の悩みとして、多く声があがるものの一つに、実は「両親・義両親との関係性」があります。

「里帰り出産したものの、予定を早めて帰ってきてしまった」「悩んでいるのが自分だけではないと知っただけでも、ホッとした」など、多くの産後女性を悩ませている、この問題。里帰り出産を選択しない理由としても、やむを得ない理由(親の逝去・就労・介護、出産場所など)、前向きな理由(夫婦で共に育児をしたい、など)以外のものとして、「帰る状況にない」「帰りたくない」「前回の産後に揉めたから」などの言葉を耳にします。

今回は、この問題を見つめながら、より健やかな産後の環境を整えるポイントをご紹介します。
   

悩ましい出産後の親との関係・揉める理由

出産後の親との関係……健やかな産後の環境を整える3つのステップ

通常時ならまだしも、産後なのに……

産後に親と揉める理由としては、下記が多く聞かれます。

育児の世代間ギャップ
この時期の衝突原因の一つ。母子手帳の項目が変わるなど、「良い」とされる事項が時代と共に変わっています。
【例】
- 授乳(「粉ミルク推奨」→「母乳推奨」)
- 抱き癖(「泣くたび抱っこをすると自立が遅れる」→「十分な抱っここそ自立につながる」)
- 服装(「赤ちゃんは体温調節ができないので厚着に」→「大人より一枚少ない薄着に」)

距離感の近さ
多くを相手にゆだねる必要がある産後。「帰省時には問題なく過ごせてきたため、長時間一緒にいる同居時の記憶が薄れていた。うっかり里帰りしたことを後悔」など、適度な距離感を保つことで関係性を保ってきた方にとって、思わぬ落とし穴があるようです。

スタンスの違い
慣れない子育てを「応援」してほしい産後女性と、良かれと思い、「指導」という形になりがちな親側の意識の違いも、ぶつかる要因の一つ。「こうしなさい」といった方法論の押し付けや、「みんな乗り越えてきたのだから」という叱咤激励など、アドバイスという名のストレスに苦しむ場合が多いようです。

いずれの場合も共通するのは「もっと自分の気持ちに目を向けてもらえたら」というシンプルな想い。とはいえ、相手の態度を変える、というのは難しいもの。また、子どもが誕生したタイミングで、親と傷つき合うのも本意ではないでしょう。では、今まさに悩んでいるという場合、どうすれば良いののでしょうか? 次ページでは、健やかな産後の環境を整えるポイントをご紹介します。

   

健やかな産後の環境を整える3つのステップ

自分を見つめることが、大きな一歩に

自分を見つめることが、大きな一歩に

おすすめしたい方法は下記です。
 
  1. 回復を第一に考える
    産後は、弱っていると言っても過言ではない時期。親など周囲と向き合うことや、言動に悩まされずに過ごすことは、心身共にエネルギーがあってこそ出来ることです。

    大切なのは、産後を血縁関係で乗り切ることではなく、産後女性がしっかり身体を休め、昼夜ない赤ちゃんのお世話に臨める、ストレス要因の少ない環境を整えることです。
     
  2. 他者と、シェアする
    親に頼らないからといって、一人きりで乗り切る……というのはNG。産後の時期こそ、人を頼るきっかけの第一歩です。パートナーである夫、地域の子育て支援従事者(産後ドゥーラ、ベビーシッター、ファミリーサポート、ヘルパーなど)など「母親に優しくする存在」がいると、産後うつなども減少することが証明されています。友人に助けを求めるのも良いでしょう。自分の気持ちに耳を傾け、受け止めてくれる人を隣に! と意識してみてください。

    興味深いのは、育休取得などの形で夫の育児参加体制がある方も、「夫以外の第三者が必要」と口を揃えるケースが多いこと。物理的に助かるのはもちろんのこと、母親自身に感謝やゆとりがうまれ、「夫に優しい物言いができる」「我が子の泣き声に苛立たず、大らかな気持ちで向き合える」などの効果があるようです。より良い状況を自ら整え、自分の気持ちが変わることで、家族にも変化がうまれる。まずは、環境作りからです。
     
  3. 自分の気持ちを見つめ、伝える
    親・専門家・インターネットなどの様々な情報に戸惑うことや、周囲の言動に振り回されること、多くあると思います。でも、そんな時こそ、外側ではなくて、自分の内側に目を向けることが有効です。
    他ならぬ自分の人生において、判断基準を外にゆだねると、苦しくなりがち。親を責めること・悩むことは簡単ですが、「どうしよう?」と迷ったときは、自分を見つめることに意識を向けることが大切かもしれません。そして徐々に、自分の気持ちや価値観などを、言葉にして周囲に伝えていけたら良いですね。
     

「親との関係性を、我が子に連鎖させないかが不安」という産後女性の悩みは多いですが、どうしたら変えていける? と考えることから、希望がうまれます。

一人で抱え込まず、支えられる環境を整え、母親自身が自分を大切に思える状況を築くこと。そのための選択肢はさまざまです。我が子の誕生が、新しいきっかけになることを願っています!


【関連記事】
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※妊娠中の症状には個人差があります。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。体の不調を感じた場合は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます