出産後の親との関係……健やかな産後の環境を整える3つのステップ
「里帰り出産したものの、予定を早めて帰ってきてしまった」「悩んでいるのが自分だけではないと知っただけでも、ホッとした」など、多くの産後女性を悩ませている、この問題。里帰り出産を選択しない理由としても、やむを得ない理由(親の逝去・就労・介護、出産場所など)、前向きな理由(夫婦で共に育児をしたい、など)以外のものとして、「帰る状況にない」「帰りたくない」「前回の産後に揉めたから」などの言葉を耳にします。
今回は、この問題を見つめながら、より健やかな産後の環境を整えるポイントをご紹介します。
悩ましい出産後の親との関係・揉める理由
通常時ならまだしも、産後なのに……
・育児の世代間ギャップ
この時期の衝突原因の一つ。母子手帳の項目が変わるなど、「良い」とされる事項が時代と共に変わっています。
【例】
- 授乳(「粉ミルク推奨」→「母乳推奨」)
- 抱き癖(「泣くたび抱っこをすると自立が遅れる」→「十分な抱っここそ自立につながる」)
- 服装(「赤ちゃんは体温調節ができないので厚着に」→「大人より一枚少ない薄着に」)
・距離感の近さ
多くを相手にゆだねる必要がある産後。「帰省時には問題なく過ごせてきたため、長時間一緒にいる同居時の記憶が薄れていた。うっかり里帰りしたことを後悔」など、適度な距離感を保つことで関係性を保ってきた方にとって、思わぬ落とし穴があるようです。
・スタンスの違い
慣れない子育てを「応援」してほしい産後女性と、良かれと思い、「指導」という形になりがちな親側の意識の違いも、ぶつかる要因の一つ。「こうしなさい」といった方法論の押し付けや、「みんな乗り越えてきたのだから」という叱咤激励など、アドバイスという名のストレスに苦しむ場合が多いようです。
いずれの場合も共通するのは「もっと自分の気持ちに目を向けてもらえたら」というシンプルな想い。とはいえ、相手の態度を変える、というのは難しいもの。また、子どもが誕生したタイミングで、親と傷つき合うのも本意ではないでしょう。では、今まさに悩んでいるという場合、どうすれば良いののでしょうか? 次ページでは、健やかな産後の環境を整えるポイントをご紹介します。
健やかな産後の環境を整える3つのステップ
自分を見つめることが、大きな一歩に
- 回復を第一に考える
産後は、弱っていると言っても過言ではない時期。親など周囲と向き合うことや、言動に悩まされずに過ごすことは、心身共にエネルギーがあってこそ出来ることです。
大切なのは、産後を血縁関係で乗り切ることではなく、産後女性がしっかり身体を休め、昼夜ない赤ちゃんのお世話に臨める、ストレス要因の少ない環境を整えることです。
- 他者と、シェアする
親に頼らないからといって、一人きりで乗り切る……というのはNG。産後の時期こそ、人を頼るきっかけの第一歩です。パートナーである夫、地域の子育て支援従事者(産後ドゥーラ、ベビーシッター、ファミリーサポート、ヘルパーなど)など「母親に優しくする存在」がいると、産後うつなども減少することが証明されています。友人に助けを求めるのも良いでしょう。自分の気持ちに耳を傾け、受け止めてくれる人を隣に! と意識してみてください。
興味深いのは、育休取得などの形で夫の育児参加体制がある方も、「夫以外の第三者が必要」と口を揃えるケースが多いこと。物理的に助かるのはもちろんのこと、母親自身に感謝やゆとりがうまれ、「夫に優しい物言いができる」「我が子の泣き声に苛立たず、大らかな気持ちで向き合える」などの効果があるようです。より良い状況を自ら整え、自分の気持ちが変わることで、家族にも変化がうまれる。まずは、環境作りからです。
- 自分の気持ちを見つめ、伝える
親・専門家・インターネットなどの様々な情報に戸惑うことや、周囲の言動に振り回されること、多くあると思います。でも、そんな時こそ、外側ではなくて、自分の内側に目を向けることが有効です。
他ならぬ自分の人生において、判断基準を外にゆだねると、苦しくなりがち。親を責めること・悩むことは簡単ですが、「どうしよう?」と迷ったときは、自分を見つめることに意識を向けることが大切かもしれません。そして徐々に、自分の気持ちや価値観などを、言葉にして周囲に伝えていけたら良いですね。
「親との関係性を、我が子に連鎖させないかが不安」という産後女性の悩みは多いですが、どうしたら変えていける? と考えることから、希望がうまれます。
一人で抱え込まず、支えられる環境を整え、母親自身が自分を大切に思える状況を築くこと。そのための選択肢はさまざまです。我が子の誕生が、新しいきっかけになることを願っています!
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