大きくイメチェンした2014年モデル
ボルボの2014年モデルは、モデルイヤーチェンジ、つまり年次改良では過去最大規模となるもので、S60/V60、XC60、V70、XC70、S80がフェイスリフトを受けるなど、変更箇所は4000以上に上るという。
どのモデルもキリッとした顔つきと大型化されたボルボのブランドマークが印象的で、今回は基本的に外装が中心であるものの、走りのテイストも一層磨かれている印象を受けた。
試乗したのはV60とXC60。まずV60は、今回のイヤーチェンジの特徴である水平のラインが強調され、フレームレスのフロントグリルや彫刻的な新しいボンネット形状でスポーティさを際立たせている。
新しいエントリーグレードのV60 T4にも30km/hから50km/hに作動域を高めた「シティ・セーフティ」を備えるなど、安全性へのこだわりに抜かりはなく、歩行者検知や「フル・アクティブ・ハイビーム」、先述したサイクリスト検知機能を含む「ヒューマン・セーフティ」は20万円のオプション設定で、同オプションでの儲けはほとんどないのではないか。
なお、「フル・アクティブ・ハイビーム」は対向車のヘッドライト、先行車のテールランプを検知すると車両に向けられる部分のみがロービームとなり幻惑を防ぐ優れもので、周囲はハイビームが維持されるから歩行者が検知しやすいなどのメリットがある。
パドルシフトをついに装備
イヤーチェンジを受けたS60/V60、XC60、S80、V70、XC70の各モデルの中位グレード以上にパドルシフトが標準装備されたのも朗報で、V60、XC60でも試すことができたが、今回の試乗ステージだった箱根ターンパイクのようなワインディングでは極めて有効で、ほかでも高速道路などでも重宝するだろう。
このパドルシフトとスポーツモードにより、ギヤチェンジは20%クイックになり、中でも1-2速間では50%も素早い変速が可能になったため0-100km/h加速も向上するなど、より鋭いスタートダッシュができるようになっている。
V60 T4の1.6L直噴ターボはV40でも体感済みだったが、V40よりも110kg重くなっているため驚くほどパワフルではないし、急勾配が続くターンパイクのような場所ではDレンジに入れて漫然と走っているとややパンチ不足を感じる。
しかし、パドルシフトとスポーツモードを使えば必要十分といえる走りを見せてくれるし、フル乗車に荷物を満載してもモアパワーを感じさせることはないはず。ある程度走りを楽しみたいならパドルシフトが用意される「T4 SE」が欲しいところで、304ps/440Nmの「T6 AWD」を選べばパワー不足とは無縁の豪快なグランドツーリングが楽しめるだろう。
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