若返った印象のXC60
BMWのX3やアウディQ5、メルセデス・ベンツGLK、レンジローバー・イヴォークなど数多いライバルだが、ボルボXC60の魅力はやはり標準装備の「シティ・セーフティ」やサイクル検知を含む「ヒューマン・セーフティ」などによる高い安全性とスカンジナビアン・デザインのクールな内・外装にある。
さらに2014年モデルは、ボディ下側までボディ同色化され、よりオンロードを意識させる現在流行の雰囲気が漂うだけでなく、ヘッドライトやグリルなどにより文字どおりリフレッシュされて、よりセンスフルな佇まいになっている。
オンロードよりといってもBMW X3やアウディQ5が、よりステーションワゴンのような視線と腰の低さを感じさせる走りを見せるのに対して、XC60はSUVらしいアイポイントと重心の高さを抱かせるテイストだ。
しかし、決して欠点ではなく見晴らしのいい視界とオフロード走行時の安心感の高さにもつながるし、重心高が高いといっても大きなロールでゆったりした走りに終始するわけではない。
試乗した「T6 AWD」はいまや小数派の直列6気筒ターボを積み、6ATと組み合わされる。304ps/440Nmのハイパワー&大トルクにより豪快な加速を堪能できるだけでなく、新たに追加されたパドルシフトも備わるから勾配やコーナー手前などでクイックなシフトチェンジが可能。
さらに、AWDならでの安定感と左右のトルクバランスを調整する「DSTC」や「ロール・スタビリティ・コントロール」により思いのほか速い速度でコーナーをクリアできるから箱根ターンパイクのような山道も苦手とはしないが、フロントノーズは若干重めで、フットワークはより頭が軽くなる2.0Lの4気筒ターボに分がありそうだ。
今回試乗した2台の2014年モデルは、パドルシフトをのぞくと走りの面での改良はとくにアナウンスされていないが、ボディの剛性感やハンドリングの確かさなどすべてにアップデートされている印象を受けた。絶好調のV40だけでなく、V60やXC60なども魅力を着実にアップしているからボルボの快進撃はさらに続くだろう。