少年の母との切ないダンスシーンによって優れた恋愛映画に
■作品名刑事ジョン・ブック/目撃者 (85)
■監督
ピーター・ウィアー
■主演
ハリソン・フォード、ケリー・マクギリス
■DVD販売元
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
■おすすめの理由
殺人事件を目撃した少年とその母親を守るため、文明から隔絶したアーミッシュの村に潜入する刑事ジョン・ブック(ハリソン・フォード)の姿を描きます。
この映画のポイントは、それまでアクション派の印象が強かったフォードが感情を抑えた演技を見せる点。
加えて、アーミッシュという特異な宗教集団の存在を描いたところが、母子とヒーローというありふれたストーリーに厚みを持たせています。
監督のピーター・ウィアーは、都会人のジョンとアーミッシュの生活との対比を丁寧に描き、心が通じ合いながらも決して結ばれない関係のやるせなさや切なさを強調しました。
中でも、カーラジオから流れるサム・クックの「ワンダフル・ワールド」に合わせて、思わず踊り出してしまうジョンと少年の母(ケリー・マクギリス)とのコミカルかつ切ないダンスシーン(くっつきそうになっては離れ、また……の繰り返し)が、2人の置かれた状況や心の内を象徴して印象に残ります。
そしてこのシーンこそが、この映画を優れた恋愛映画にたらしめているのです。