松田優作とマイケル・ダグラスの演技対決!
■作品名ブラック・レイン
■監督
リドリー・スコット
■主演
マイケル・ダグラス、松田優作
■DVD/Blu-ray発売元
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
■おすすめの理由
1989年公開のこの映画は、サスペンスやミステリーの枠組みにおさまらない、とてもひやりとさせられた映画です。
この映画は、日本のやくざ映画の風味をつけたノアールサスペンス映画にカテゴライズされると思うのですが、わたしは一種のバディ(相棒)ストーリーとしても楽しめると思います。
バディは、マイケル・ダグラス扮する主人公のニックと、突っ走り気味の彼を抑える気のいいチャーリー。そして、習慣や文化の違いから反目しあい(主にニックがそうしているのですが)ながらも、一種の信頼関係をきずく、高倉健さん扮する松本。
ニックと松本のかけあいは、アメリカとソ連の刑事が協力し合うシュワルツネッガー主演の「レッドブル」を彷彿とさせます。
まぁと言ってもこの映画の一番の見どころは、松田優作とマイケル・ダグラスの、白刃をきらめかすような演技対決だではないでしょうか。松田優作さんの狂気一派手前の演技も見ものですが、わたしがお勧めするのは、マイケル・ダグラス氏にひやりとさせられたあるシーンです。
優作さん扮するヤクザの、元親分との会見に単身乗り込み、交渉をまとめるダグラス氏。「そちらにとっても悪い話ではないと思うが」。無表情に彼がそう言い放った瞬間、その場が、と言うより対面している大親分からぶわりと殺気があふれます。
ひぃ怖い。
それまで英語で会話していた親分が、「いてまうぞこのガキャ」というようなことを言うのですが、そう恫喝する親分よりも、それを平然と親分を見返すダグラス、彼の目が、なによりも恐ろしい。
何かの果てをみてしまったような、覗きこんだら還れなくなるような、暗いくらい目でした。
この映画が遺作となった松田優作さんは、映画の撮影当時すでに体調を崩しておられ、毎晩医者と相談しながら撮影にのぞんだとか。そんなギリギリの集中がうんだ、鬼気迫る演技も、どうぞお楽しみください。