クルドサックとは「袋小路」を意味するフランス語(cul-de-sac)で、住宅地の中に居住者以外の車が入ってこないように、奥を行き止まりにした道路形式を指します。私道によくあるような単なる行き止まり道路ではなく、奥で車の向きを変えられるようにロータリーなどを設けるのがクルドサックの特長です。ニュータウンや大規模な開発分譲地などにみられ、円形のロータリーではなく、突き当り部分が広い台形状になったものもあります。たまに迷い込んでくる車もありますが、日常的にはその区域の居住者や関係者の車しか入らないため、静かな住環境を維持し、さらに安全を確保するうえで、大きな効果が期待できるでしょう。
ただし、クルドサックを造っただけでは、災害のときなどにおける住民の避難路が1方向に限られてしまいます。そのため、クルドサックの先に歩行者専用の路地を設けて、他の道路へ接続させるケースが多いでしょう。また、クルドサックは生活道路での歩車分離型の考え方である「ラドバーン方式」において、1つの構成要素ともなります。
クルドサックが造られた道路は、公道の場合も私道の場合もあります。私道であっても、開発業者の名義としたうえで公道的な扱いがされていたり、関係住民の大人数による共有となっていたりすることが多く、私道をめぐるトラブルといったことは起きにくいでしょう。また、クルドサックに面した敷地はやや変形したものになりますが、プラス要因が大きいため、他の一般的な不整形地のように土地価格の評価が下がることもあまり考えられません。
クルドサックは優れたまちなみづくりにもつながるため、最近では一定規模以上の開発分譲地への導入を積極的に働きかけている自治体や、ミニ開発の建売分譲地などでこの概念を取り入れる事例も増えつつあるようです。
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