ちょっと“知らない”操縦感覚が気持ちいい

テスラモデルS

モーターは最高出力416ps/最大トルク600Nmを発生。エンジンを積んでいないため、フロントのクラッシュゾーンをこれまでのクルマでは出来なかった方法で最適化されている

早速、走り出してみた。

何気なくアクセルペダルを踏み込むと、ドンッ! と勢いよく進む。最初のアシ加減には、慎重さが必要だ。ポルシェターボに初めて乗るような緊張感をもった方がいい。最初の最初だけは。

静かに走ること、それ自体は最早、驚きでもなんでもない。EVだから当然だ、ということをみんな知っている。けれども、都会のビル地下、換気の悪い駐車場のなか、(すぐにペダル操作にも慣れて)ゆっくりと静かに走り出すと。“新しさ”を操る自分自身に対して、ハナ高々というか、気分がよくなることもまた、事実だ。

車体そのものは軽く仕上げられているが、何せ重い大容量バッテリーを積む。車重は軽く2トンを超え、しかも、この大きさだ。加速はよくても、さぞかし、重々しいライドフィールなのだろうと思っていたら、これが軽快で驚いた! 前後の重量バランスのよさと、バッテリーを床下に置く低重心さが利いているのだろう、どっしりとしているのだけれども、動きに当意即妙さが十二分にあって、ちょっと“知らない”操縦感覚である。

それがまた、気持ちいい。正直、重いクルマなのに重いと感じなかったのは、日産GT-R以来、2台目だ。

街中もスイスイと、大きさを気にすることなく抜けていく。回生ブレーキを強めに利かせている(タッチパネルから調節可能だ)から、上手に走らせると、ブレーキを使うことも少なくなってゆく。次第に、ブレーキペダルを踏むことさえ煩わしくなってゆく。

プレミアムスポーツサルーンに遜色ない“ファン”

テスラモデルS

自動制御機能をもつアクティブエアサスペンションを装着。加速時には低くすることで空力特性を最適化、タッチスクリーンでも好みの車高に設定可能

京都に向かうため、新御堂筋から名神高速にのった。

アクセルペダルを思い切って踏んでみる。航続距離が160kmくらいなんて言われると、そんなこと試す余裕はないけれど、モデルSなら心配ない。大阪~京都、どう走り回っても、往復で200kmを超えることはない。多少の“電池ムダ使い”も許される。

加速フィールは、ぐいぐいと見えない何かに引っ張りまくられている、という印象で、まるで個室新幹線のようだ。流れる景色の様子、風を切る感覚がよく似ている。けれども、振動はほとんどないから、新幹線より気持ちがいいかも。

走りの方も、もちろんズシリと安定したものだった。制限速度域内では余裕綽々で、逆につまらないくらい。追い越し加速も実にスムース。クルージングしているだけでも、新しい乗り物に乗っているという満足度が得られる。

圧巻だったのは、高速を降り、しばらく京の街を走り抜けて、嵐山高雄パークウェイにノーズを向けた後だった。

関西でも有数の、高速ワインディングロードである。重さ2トンのEVセダンにとってはさすがにきついだろうと思っていたら、これがまた、“楽しい”のひとこと! ハッキリ言って、ポルシェパナメーラやアストンマーティンラピードといったスポーツプレミアムの4ドアモデルと、次元が異なるとはいえ、遜色のない“ファン”があった。
テスラモデルS

充電口は左側(ドライバー側)のリアテールランプに内蔵される。100/200Vの通常コンセントと充電ステーション用の双方が使える。大容量に対応した200Vコンセントで1時間あたり85kmの走行距離分を充電できる

こうなると、もはや、フツウの大型セダンを買う理由が見当たらない。問題は、わが家に専用のガレージがないことくらい……。ガソリンスタンドに行かなくてもいい気持ちの良さも捨て難い。なるほど、家のガレーヂを出たあとは、クルマから余計に出る必要がないというあたりもまた、裕福な人たちにはウケることだろう。

モデルS。なるほどそれは、モデルT以来の“衝撃”であった。モデルXにも、期待大だよなあ。
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