かつての小さなおしん(小林綾子)と同年代の子育て層は
「おしん」をどう観たか
貧しい小作農に生まれたおしんは、口減らしのため奉公に出る (c)2013「おしん」製作委員会
「つらいことも耐えましょう」「我慢忍耐は美徳」「辛抱は感動」……そんなテーマだろうと高をくくっていた。巷のお父さんお母さんたちや、おじいちゃんおばあちゃんたちが喜んで観ていた。学校でも、勉強ができて性格のいい「いい子」たちがいつも朝の連続テレビ小説を観てから学校に来て、その話を聞かせてくれる。
奉公先の女中頭つねの厳しいしごきに耐えるおしん (c)2013「おしん」製作委員会
そんなひねくれた子どもが親になり、甘ったれなりにそこそこ打たれてやってきた大人の視線で「おしん」を観たら、初めてわかったことばかりだった。「おしん」試写会で、私は誰にも見られないよう涙を拭いながら無知を恥じた。「おしん」は、我慢強くて健気な可愛い女の子の、お涙頂戴の苦労話なんかじゃなく、沢山の女たちの一生と誇りの話だったのだ。