理学療法士試験 運動学の問題傾向

理学療法士として、他の医療職より最も重要な運動学。物理系の計算問題は近年、必ず出題される傾向にあるため、計算問題が苦手な人はしっかりとした対策が必要です。また、例年、筋肉の作用についての出題が多いのですが、四肢体幹の筋肉の作用に加え、手指、足部などの筋肉についてもしっかり押さえて、点数の取り漏れがないようにしたいところです。

続けて、運動学の過去問題と解説に移りますが、昨年出題の問題と計算問題を解説していきます。
 

運動学の過去問題と解答

過去問題 第51回(2016年)
次の歩行周期で足関節が最も底屈位になるのはどれか
  1. 踵接地
  2. 足底接地
  3. 立脚中期
  4. 爪先離地
  5. 遊脚中期

この問題は厚生労働省の発表では、「選択肢に正答なし」とされており、採点から除外された不適切問題となります。毎年、こういった不適切問題の扱いを受ける問題は1、2問あります。ちなみに歩行周期で足関節が最も底屈位になるのは爪先離地直後となります。この説明だと、正答は4ということになるのですが、この問題の問いは「爪先離地」という爪先が床から離れる一部の瞬間だけを選択肢にしており、爪先離地前後を含めた表現ではなかったのが正答にならなかった理由と予測されます。仮にこの選択肢が「爪先離地期」だったら、爪先離地前後の瞬間も含まれる表現の為、正答は4になったと考えられます。わずかな表現の差で正答は変わりますので、問題も選択肢もよく読む事が重要になります。

過去問題 第48回(2013年)

同一平面内に働く力、ベクトルF1とF2が同じ平面上の点Oの周りに作るモーメントMを表す式はどれか。ただし、OからベクトルF1とF2の作用線に下ろした垂線の長さをそれぞれa,bとする。
  1. M=F1+F2
  2. M=aF1+bF2
  3. M=aF1+bF2/2
  4. M=F1+F2/a+b
  5. M=(F1+F2)(a+b)

この答えは【2】となります。
バイオメカニクス

受験者が問題文からモーメントをイメージし、答えを導き出すのは新しい出題傾向です。

この正解の2についてですが、基準点からの距離、および力の大きさの積の合計がMとなります。これについては、問題文からその問いに対する図を考えると導きやすくなり、 右に示したような図をイメージする形になります。

問題文をヒモ解いていくと、「同一平面内」とは、立体的ではなく、平面的にということ。「ベクトルF1とF2が同じ平面上の点Oの周りに作るモーメントM」とは、 点Oを軸心としてF1とF2という引っ張る力が発生した場合、引っ張る力によって生じた回転力(モーメント)をMと仮定するということになります。そして「OからベクトルF1とF2の作用線に下ろした垂線の長さをそれぞれa,bとする」というのは、点Oから伸ばした線が、ベクトル(引っ張る力)F1とF2をそれぞれ真っ直ぐ降ろした線に対し、垂直になる位置までの線。F1と垂直になる線をa。F2と垂直になる線をbとするということです。これにより、図のようなイメージ図が完成し、解答に結びつきます。文章に誤魔化されず、冷静に解いていく事が正答の鍵になりますね。


過去問題 第47回(2012年)
体幹を前傾して静止した人体の模式図を示す。
バイオメカニクス

苦手な人が多い問題ですが、バイオメカニクスは動作の基本。しっかりと解答できるようにしたいところです。


図中の数値は、人体の各部位の重量と、各部位の重心を投影した点と基準点との距離である。人体全体の重心を投影した点と基準点との距離はどれか。
  1. 0.4m
  2. 0.5m
  3. 0.6m
  4. 0.7m
  5. 0.8m
 
この答えは【2】となります。問題の考え方ですが、求めるのは頭部、両上肢、体幹、両大腿、両下腿、足部を合計した体全体の重心を投影した線と基準点との距離です。まずは、人体の各部位ごとに基準点に対するトルクを計算し、その合計値を出します。この時、各部位ごとの計算式は距離×重量です。よって計算式は0.4×45+0.9×10+0.6×5となり、合計のトルクは30(kgw/m)となります。続けて人体全体の重量を求めます。この時、全ての重量を合計するために、45+10+5という計算を行い60kgwという数字が求められます。そして、先に求めたトルクに対する重量の積で重心を投影した線と基準点との距離が求められます。つまり、30/60=0.5(m)となるわけです。

【関連記事一覧】
理学療法士(PT)試験 総合的な問題傾向
どこよりも早い!第50回理学療法士国家試験問題と解説
理学療法士試験対策!手根骨(しゅこんこつ)簡単記憶法
図表化で記憶力強化!股関節の靱帯作用における勉強例
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。