年金/国民年金の仕組み

生活保護と年金の両立受給は可能か?もらえる金額は【動画で解説】

年金には、加齢で働けなくなった場合の所得補償や、けがや病気で働けなくなった場合の障害年金、一家の稼ぎ手を失った場合の遺族年金という給付があります。一方、収入がない、少なくて生活できない場合に生活保護が利用できます。年金と生活保護の両立受給はできるのでしょうか。

綱川 揚佐

執筆者:綱川 揚佐

年金ガイド

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生活保護をもらえる条件とは?

まずは、生活保護についてご案内します。生活保護は、何らかの事情で全く働けないか、働いていても収入が少なく、次のような努力をしてもなお生活できない場合に支給されます。
年金と生活保護は同時に受給できるのか?

年金と生活保護は同時に受給できるのか?

 
  • 働ける限りは働いて収入を得る
  • 雇用保険や年金などの社会保障による給付をすべて受ける
  • 預貯金や生命保険などの金融資産を生活費にあてる
  • 親、子や兄弟姉妹など、民法上の扶養義務者による援助を受ける
  • 自動車は原則保有できない
  • 居住用不動産や事業用不動産(農地や山林など)は保有が認められる場合があるが、受けた生活保護の中からローンを返済することは原則認められない
 

生活保護の金額はどう決まる?

生活保護の金額は、地域や世帯の人数、構成員の年齢などによって計算される最低生活費によって決まります。最低生活費は、厚生労働省ホームページの資料により計算したところ、たとえば東京都区部に住む65~69歳の夫婦2人世帯の場合には次のようになりました(令和4年7月現在)。
  • 生活扶助基準額:11万9920円……A
  • 住宅扶助基準額:地代、家賃の実費(最高で6万4000円)……B
  • A+B=最高で18万3920円(端数処理を行っている)

このほかに、医療扶助、介護扶助、教育扶助等が支給される場合もあります。また、障害者や母子家庭などの場合は加算があります。このように計算した最低生活費に現在の収入が足りない分だけ、生活保護として支給されることになります。無収入の場合は最低生活費がまるまる出ることになります。ちなみに、国民年金の満額は夫婦2人で13万円ほどですから、なるほど「逆転現象」と言われるのもうなずけます。
 

年金と生活保護は両方もらえるの?

最低生活費に収入が足りない分だけ生活保護が支給されるということをご説明しましたが、年金は収入に入るのでしょうか。結論から言いますと、年金も収入としてカウントされます。老齢年金だけでなく、障害年金、遺族年金も同じように収入として見られますから、他に収入がなかったとすると、生活保護支給額は、

「最低生活費-年金収入=生活保護支給額」

となります。先ほどの例の場合、最低生活費が約18万4000円、年金が夫婦2人で月額約10万円とすると、約8万4000円が生活保護として支給されるというわけです。
 
収入と最低生活費の差額が支給される

収入と最低生活費の差額が支給される


このように、年金と生活保護は両方もらえることはもらえますが、年金の分は収入として生活保護から減額されてしまいます。金額だけ考えれば、年金は払っても無駄だという意見があるのも事実ですが、生活保護を受けるのには資産の保有が原則認められないなど、生活にいろいろと制約が出てきます。まずは公的年金を確保し、不足分は金融資産で補うという正攻法をとって、経済的に自立した充実した老後を過ごしていきたいですね。

【動画でも解説があります】



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