不動産売却・査定/不動産売却の流れ・基礎知識

価格交渉、その対処法と心構え(2ページ目)

不動産の取引には、価格交渉がつきものです。ほとんどの買い手さんが、価格交渉ありきで取引に臨んでくると思って間違いありません。「交渉は必ずあるもの」という認識をあらかじめ持っておけば、対応もしやすくなります。価格交渉された場合の対応策や考え方について解説していきます。

楯岡 悟朗

執筆者:楯岡 悟朗

土地活用・不動産査定ガイド


予想以上の金額交渉があった場合の対処法

売却するのが、売り手にとってたくさんの思い出が詰まったマイホームだとすると、安く買いたたかれているようで面白いはずがありません。

「そんなに失礼な金額提示をする人には売りたくない!」とカッとなって一時の感情で突っぱねてしまうのも売り手の自由です。しかしせっかく入ってきた話です。相手が気に入って購入の意思表示をしてきたことに変わりはありません。ここはたとえ不本意であっても一度冷静になり、買い手側の交渉の意図を確認することが重要です。

つまり最初から「交渉が通ったらもうけもの」とダメもとで言ってきているだけなのか? もしくは買い手独自の理論に基づいて提示してきているのか? 「なぜその金額を提示してきたのか?」の理由を聞くことにより、意外なポイントを糸口にして交渉が始められるかもしれません。断るのは話を聞いてみてからでも遅くありません。

販売を開始してからの期間や売却理由を踏まえる

販売を始めてからの期間や売却理由を踏まえて考えることも重要です。例えば販売を開始して2週間であれば、これからもっと良い条件での買い手が見つかる可能性があります。金額に納得出来なければ、安請け合いして無理に話を進める必要はないでしょう。

しかし、半年かけてようやく入ってきた話ならば真剣に検討することも必要です。なぜなら半年販売をしても売れていないということは、現在提示している金額が高いと判断されていることと同じです。つまり売却の理由にもよりますが、今回の話を見送ったとしても、価格の見直しなどが必要となるからです。

また、売却の理由が購入を先行した買い替えによるものならば、じっくりと良い買い手が見つかることを待つといった、悠長なことも言っていられません。限られた期間内で売却を行わなければいけないため、入ってきた交渉を無駄には出来ません。

このように、売り手の考え、買い手の考え、販売期間、売却事由など、物件を取り巻く環境は刻一刻と変化していきます。こうした変化を適切に捉えて、交渉に入るのか入らないのかの判断を冷静に行うことが大切です。

そもそも交渉とは?

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価格交渉は決してマイナスな出来事ではなく、笑顔で取引を終えるための共同作業です

安く買いたい買い手と、高く売りたい売り手では、利害が完全に正反対です。交渉とはどちらか一方の言い分を強引に押しつけることではありません。双方の希望を少しずつすり合わせ、お互いに譲歩しあった際の着地点を見つける共同作業を交渉というものです。

目の前に当事者がいないので、つい忘れがちですが、ひとつの不動産を間に隔て、双方が生身の人間を相手にするのです。こうしたほんのちょっとの認識を持っておくことが、価格交渉に突入した際には意外に生きてくるのだと思います。せっかくのご縁です。どうせならお互いが笑顔で取引を迎えられたら、それが良い取引なのだと思います。
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