生きるということに正面から向き合った絵本
『さすらいのハンター カマキリの生きかた』
春、スポンジのような卵のうから、小さなカマキリの幼虫は生まれます。その数は、なんと200匹! しかしカマキリは、その後すぐに兄弟たちと離れ、1匹だけになります。ハンターとしてほかの生き物を狩って生きていくのです。もちろん、逆にほかの生き物たちにえものとして狙われ、食べられてしまうことも。成虫になることのできる幼虫は、ごくわずかに過ぎません。
そしてカマキリは、狙ったり狙われたりを繰り返し、子孫を残すために交尾をし、産卵をし、一生を終えます。成虫まで生き残れたとしても、カマキリの一生は一年なのです。
三角形の頭に大きな目、鋭いカマ― 悪役・悪者のイメージの強いカマキリですが、『さすらいのハンター カマキリの生きかた』という本の中には、何にも頼らず生きていく、力強い、けれど自分の使命とも言えるような本能に従ってさすらう、悲哀に満ちたカマキリの姿があります。
カマキリにとって、生きるということは、えものをとらえ、食べていくこと。そして、子孫を残すこと。
『さすらいのハンター カマキリの生きかた』は、人間の目で見れば「たった」一年である一生を、たくましく生き抜くカマキリの姿を写した科学絵本です。