湾岸開発に加速
東京都の湾岸エリアは、発展著しい江東区豊洲2・3丁目地区開発や三菱製鋼跡地の東雲1丁目開発を筆頭に、次の狙い目と称される有明や新豊洲でも開発が急ピッチで進められている。かねてから住宅エリアであった中央区勝どき・晴海地区もここにきて超高層マンションの供給が再燃しはじめた。臨海副都心と称された一帯は、都市再生緊急整備地域として街づくりが進行し、また一昨年施行のアジアヘッドクオーター特区にも指定されたこれからも期待のかかる地域。9月8日早朝(日本時間)の2020年東京五輪開催決定は、まさに追い風となるニュースだ。
計画では選手村は晴海に、各競技場は有明・夢の島地区にも数多くコンパクトなゾーン(8km圏内)で完結できる大会を目指すという。建設投資が集中して行われることから、湾岸地域の期待はますます大きいものと思われる。
発表当日、モデルルーム来場者が急増!?
現在財閥系デベロッパーを中心に、新築マンションのモデルルームが集客販売をしているが、五輪開催決定を受けて、さっそく効果が現れた模様だ。2棟で計1,744戸を供給する「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス&ティアロレジデンス」(三菱地所レジデンス・鹿島建設)では、8日(日)の来場数が直近数週間の平均の2倍に膨らんだという。再来場者の割合が多く、決断を後押しされたかのように「空き住戸の問い合わせ」が増えたようだ。また、新豊洲で分譲中の「スカイズタワー&ガーデン」(総戸数1,110戸:三井不動産レジデンシャル他)も来場者が前週の1.4倍程度に。有明地区で連続して大型タワーマンションを供給している東京建物は「ブリリア有明シティタワー」(同600戸:東京建物・住友不動産)の問い合わせが「100件近くにも膨らんだ」。
今後もタワーマンションの供給が目白押し
晴海、勝どき、有明地域では今後も大型のマンション案件が目白押し。最近公式ホームページを公開したのは、住友不動産「DEUX TOURS CANAL&SPA (ドゥ・トゥール)」。間取りは1LDK~4LDK。SOHOプランも用意。専有面積は44.67~123.77平米(住宅)。総戸数は1,450戸。完成は2015年9月下旬予定。販売は来年の年明けからスタートする。同じく総戸数が1,500戸近くにもなる「勝どき五丁目地区第一種市街地再開発事業」(鹿島建設他)も今から注目されるプロジェクトだ。最近、目新しいところでは大和ハウス工業が有明北地区で3.6haの土地を取得。取得額は421億7000万円にものぼり、業界の話題を集めた。前述の「ザ・パークハウス晴海タワーズ」の隣地もタワーマンション用地として三井不動産レジデンシャルが取得している。
気になるのは価格相場。豊洲地区の上昇が記憶に新しいが、同様の傾向が他エリアでも起こりえるのだろうか。供給を控えたプロジェクトが多数あるだけに、何とも予測しがたいところ。いずれにしても、2020年東京五輪が開かれる頃には湾岸の景観は様変わりしていることだろう。
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