マンションの窓からの転落・落下を防止するために

マンションからの子どもの転落事故はなぜ減らないのでしょうか。ベランダからの転落については「マンションで相次ぐ幼児のベランダ転落事故。対策は?」でまとめましたが、今回は「窓」で発生した事故に注目します。

 

窓からの転落事故の例


マンション上階の窓や出窓から転落する事故も多い。転落防止対策が必要だ

マンション上階の窓や出窓から転落する事故も多い。転落防止対策が必要だ


事故ケース1
2016年5月25日午前11時頃、京都府のマンションの6階に住む1才男児が転落して死亡する事故が発生。当時、男児は母親と出窓脇にあるベッドで添い寝中だった。出窓が半分開いた状態だったため、ここから転落したものと見られている。

事故ケース2
2014年11月16日午後8時頃、大阪の15階建てマンションの11階から4歳男児が転落し死亡する事故が発生。母親が「ドスン」をいう大きな音に気がついて通報。寝室の床から高さ約95センチある窓が開いており、窓の近くに台が置いてあった。

事故ケース3
2007年6月30日午前9時頃、宇都宮市で1歳男児が団地の窓から転落する事故が発生。窓は団地の3階部分で地上7メートルの高さ。病院に運ばれたが幸いにも命は助かった。

母親は台所にいて、転落した時は気がつかなかった。転落した窓ぎわには子ども用ベットがあり、ベットより20~30センチ高い位置に窓があった(【図1】参照)。

【図1】団地の3階、約7メートルの高さから転落。ベットから窓まで20~30センチしかなかった

【図1】団地の3階、約7メートルの高さから転落。ベットから窓まで20~30センチしかなかった

 

3つの事故の共通点

この3つのケースで共通していることは、窓の近くに「足がかり」となるものがあったことです。事故ケース1と3では「ベッド」が、事故ケース2では「台」が、それぞれ足がかりの役割を果たし、それによじ登って窓から落下したと考えられます。

事故ケース3の場合、子ども用ベットから窓まで20~30センチしかなかったとのことで、その高低差なら1歳の子どもが転落する可能性は十分あります。もっと月齢の低い、歩けない子どもの場合でも、この高さでは寝返りを打つだけでも十分危険です。

転落事故の原因は?

推測ではありますが、いずれの場合も「窓を閉めていること」を前提に、室内に台を置いたり窓際に子ども用ベッドを置いていたのかもしれません。

もし窓を閉め、鍵をかけておけば子どもは開けられないはず、と考えていたとすれば、実はとても危険なのです。子どもは親の動作をよく見て学んでいますし、何かのはずみで鍵が開くことも考えらます。小さなお子さんのいる家庭では、常に「万が一の危険性」を視野に入れて安全対策を取っておくことが必要です。

大切なのは足がかりをつくらないこと

事故を起こさないために大切なことは、窓際に「足がかり」をつくらないこと、部屋に足がかりとなるものを放置しないことです。
窓の近くのソファーも危険。子どもが落ちるほか、子どもが窓からものを落とす危険性もあります。

窓の近くのソファーも危険。子どもが落ちるほか、子どもが窓からものを落とす危険性もあります。



もしリビングであれば、ソファー、テーブルなど、窓ぎわにあるものはなんでも足がかりになります。子どもは頭が大きく重心が高い位置にあるため、足がかりによじ登りバランスを崩し、転落事故につながることが懸念されます。


最近のほとんどのマンションではそのような落下の危険性のある窓には落下防止手すりをつけています。それでも窓ぎわに足がかりになるものがあると、手すりを乗り越える危険性が発生してしまいます。すなわちハード面の対応だけでは不十分で、住まい方でも十分な注意が必要だということになります。

もし転落防止手すりがついていなかったら

先ほど述べたように、転落事故を防止するために、最近のマンションでは最初から窓に落下防止手すりを設けているケースが多くなっています。しかし、残念ながら、建築基準法では窓への手すり設置が規定されているわけではありません。

窓には転落防止のために手すりや柵を取り付けよう

窓には転落防止のために手すりや柵をを取り付けよう


法的な規制がないため、築年数の古いもの、戸建住宅などでは窓からの転落防止対策をしていないものが多く見られます。もし小さなお子さんがいて、危険だなあと思ったら自分たちで対策を取るようにしてください。落下防止手すりをつける基準は次の通りです。

 

窓の落下防止手すりの基準

幼児を対象とした落下防止の観点でみると、床から窓までの高さを85センチ以上確保することを目安とすると良いでしょう。足元に幼児がよじ登れる足がかりのある場合は、その足がかりから85センチ以上の高さまで落下防止手すりを設けましょう。

落下防止手すり設置基準。幼児の場合、85センチ以上(※)が安全の目安になります。(※)文献によっては80センチ以上となっておりますが、ここでは安全性を考慮して85センチ以上としました。

落下防止手すり設置基準。幼児の場合、85センチ以上(※)が安全の目安になります。(※)文献によっては80センチ以上となっておりますが、ここでは安全性を考慮して85センチ以上としました。

 
それでは次のページで、後付けで窓に手すりをつける方法と費用の目安を見てみましょう。