ディナーコースではスペシャリテが次々に
約13種類の野菜を味わえるバーニャカウダも、ひと味違うのが尾前シェフ流です。蒟蒻も入っていますが、野菜は鎌倉野菜が中心。ソースはカニみその使い方がとっても贅沢なだけでなく濃厚でクリーミー。また、野菜も通常はほとんど生ですが、こちらでは茹でて野菜の甘みが引き出せるものは全て茹でるという手の掛けようです。お肉料理をいただく前に、ジェラートで口の中をリセットです。この日のジェラートは青リンゴと大葉のソルベ。青リンゴの爽やかな甘みと大葉の苦みのバランスが良く、本当にさっぱりします。
いよいよ、主役の登場です。熟成肉と萬幻豚が1枚の木製プレートに盛られて出てきました。熟成期間中に酵素等の働きで繊維(タンパク質)がゆっくりと壊れペプチドやアミノ酸に変化した熟成肉は、旨味が増し柔らか。10年以上も熟成肉の研究を重ねているという尾前シェフ。
こだわりどころも満載です。国産牛赤身の熟成肉はあえて熟成期間が違うものを使っています。今回は、42週間と52週間と熟成期間が違う2種類を食べ比べさせて頂きましたが、食感や味わいに違いがしかり出るので、自分の好みを見つけるきっかけにもなります。
萬幻豚は富士朝霧高原の農場で誕生した新ブランド。脂が甘く美味しいのが特徴的。重みがなくさっぱり感があるのに食感はしっかりで、滑らかで上質な肉質を感じる豚肉でした。
付けあわせも凝っています。葉山葵入りのマッシュポテトと皮ごと焼かれて旨味が凝縮した北海道産のタマネギ。タマネギは程よく火が通り、甘みととろみが引き出されています。
また、この肉は炭火と薪で焼き上げていますが、その薪は徳川家の末裔のところから購入しているという由緒正しい薪。店内の壁面にも飾られていますが、実はこれ、収納兼インテリア小物になっていたのです。
ゼブラという大きなイタリアナスをくり抜いたものの中にパスタが入った独創的なビジュアルです。自家製パスタ「キッターラ」はモチモチした食感。フレッシュトマトやパンチェッタ、ペコリーノチーズのソースがたっぷり絡みついています。
愛媛のオーガニックレモンを贅沢に使ったタルトは、爽やかなレモンの香りを楽しめます。これも、素材の味が引き出ていて本当に素晴らしい完成度。酸味と甘みのバランスが良いので食後にピッタリなデザートです。
メニューも尾前シェフこだわりの一品。オリジナルの切り絵を原画にして印刷したものですが、切り絵師の方にお願いして季節ごとにオリジナルの切り絵を作って頂いているそうです。ペンや筆とは違う力強い太線で描かれた切り絵は温かみがあり、ここにも尾前シェフのお人柄が表われています。
とにかく、一皿一皿に食べ手に対する気遣いや食材に対する愛情、オリジナルティが感じられたコースでした。女性好みのインテリアですが、実はお肉好きの男性も満足出来るお料理ですし、ワインの品揃えも充実。様々なシーンで活躍出来るお店です。
■PLATE Organic & Grill
・住所:東京都港区西麻布1-11-6 ホテル&レジデンス六本木 1F
・電話:03-5785-2725
・営業時間:[火~土]17:30~24:00 (LO 23:00)、[日・祝]17:30~23:00 (LO 22:00)
・休:月曜日
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