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ドラマ「Woman」に見るシングルマザー向け公的制度

過酷な環境の中を力強く生きるシングルマザーを熱演する満島ひかりさん主演のドラマ「Woman(ウーマン)」が話題です。シングルマザー向けの公的制度についても考えさせられるドラマです。

拝野 洋子

執筆者:拝野 洋子

ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士 / 年金・社会保障ガイド

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話題のドラマ「Woman」(日本テレビ)。主人公、青柳小春役の満島ひかりさんの演技が光ると評判ですが、ストーリーに沿って、シングルマザー向けの公的制度を確認してみましょう。

小春さんの公的給付は?

シングルマザーにはさまざまな公的補助がある

シングルマザーにはさまざまな公的補助がある

平成23年度 全国母子世帯等調査(厚生労働省)によると、母子世帯の平均収入は223万円(母自身の収入 公的手当を含む)です。ドラマの中で夫の過去も明かされますが、夫の親は頼りにならないし、夫は生命保険に入ってなかった様子……。小春さんの主要な公的給付は、遺族年金もしくは児童扶養手当と思われ、懸命に働かなければならないのでしょう。

小春さんは遺族年金をもらっている?
夫の年齢や職業がはっきりしないのですが、子どものできたのを機に安定した職業に就いた直後(1年くらい?1年未満?)に事故に遭い、亡くなったようです。

お給料が年収約300万円で、死亡当時に厚生年金へ入っていた、と仮定しましょう。遺族厚生年金なら、加入直後の事故でも一定期間働いたと見なして計算されますので、年額約32万円(300万円÷12カ月×5.769÷1000×300カ月×3/4×1.031×0.978)の遺族厚生年金が見込まれます。

夫の死亡前日の前々月までの保険料が1年間滞納してなければ、遺族厚生年金に加えて遺族基礎年金も子どものいる妻に支給され、末子が原則18歳になった最初の3月31日(高校卒業)まで遺族年金が見込まれます。

18歳未満の子ども2人の場合、年額約120万円(定額)の遺族基礎年金と、年額約32万円の遺族厚生年金、合計約152万円(年額)です。遺族年金は小春さんが働いても減額されません。

もし夫が就職前に国民年金保険料を滞納していたら、遺族年金の合計約152万円(年額)が支給されないこともあるので、小春さんが遺族年金より児童扶養手当をもらっている可能性もあります(参考記事:シングルマザー・シングルファザーのための公的制度)。

小春さんは児童扶養手当をもらっている?
遺族年金と児童扶養手当は、原則どちらかの支給となります。小春さんは遺族年金でなく児童扶養手当の受給者である可能性もあります。児童扶養手当は子ども2人で全額支給だと月額約4万6000円。小春さんの就労収入が年収約171万円を超えると、10円きざみで月額が調整されます。

児童手当、児童育成手当も上乗せ
小春さんの場合、子ども2人だと、国の手当として児童手当が月額2万円(1人だと月1万円)です。渋谷区在住とのこと、東京都は自治体として児童育成手当を支給しているので、子ども2人で月額2万7000円(子ども1人につき月額1万3500円)です。

もし、小春さんが再婚したら?
4話で父親違いの妹が、姉の小春さんに「再婚すればいいのに」と言っていましたが……。再婚すると、小春さんがたとえ遺族年金をもらっていても失権します。ひとり親ではなくなるので、児童扶養手当も児童育成手当も受給の権利がなくなるでしょう。

次のページでは、子どもたちの給付や、治療を経済的に助ける制度も確認しましょう。
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