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キッズデザインから考える子どもの安全・安心な住まい(2ページ目)

キッズデザインは、子どもの安心・安全や健やかな成長、さらには子育てのしやすさなど、住まいづくりにおいて大切な要素が含まれています。7月に行われた「第7回キッズデザイン賞」の表彰の内容なども含め、少し詳しく最近の動向をご紹介します。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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キッズデザイン賞の次点として優秀賞「経済産業大臣賞」が4点選ばれていますが、その中の一つに〈子どもの未来デザイン 学び・理解力部門」の「コドモ里山ラボ 東京森都心(とうきょうしんとしん)」(積水ハウス、アクタス、コクヨ、ジャクエツ、パナソニック〉がありました。この受賞作品を事例に、住まい分野における最新のキッズデザインについて考えていきます。

最新のキッズデザイン体験施設が東京八王子に

「コドモ里山ラボ」は、積水ハウスなどが開発している「東京森都心 多摩ニュータウン東山」(東京都八王子市堀之内)という分譲地のなかにあります。生活空間を体験できるモデルハウス4棟のほか、道路や植栽なども含めた最新の「キッズデザイン」の考え方がよくわかる体験施設です。

ピットリビング

「コドモ里山ラボ」モデルハウスにあるリビング。コドモの遊び場になるほか、家族が集いコミュニケーションを育む場所になる(クリックすると拡大します)

実は「コドモ里山ラボ」は10月27日(日)までの期間限定のモデルハウスで、その後は分譲住宅として販売される建物。元々、分譲販売することを念頭に建てられている建物ですから、一般的なモデルハウスと比べ、実生活に即した設えとなっています。

とはいえ、積水ハウスが今回のキッズデザイン賞で「内閣総理大臣賞をとる!」との意気込みから取り組んだのが「コドモ里山ラボ」。子どもの行動心理や子どもの事故事例を反映させた生活提案「コドモイドコロ」など、子どもの安全安心や、子育てのしやすさといった大人への配慮が施されています。

例えばそれらの配慮は、1階のLDK空間を中心にしたスペースを見るだけでもよくわかります。対面型キッチンからはLDK全体が見渡せますから、家事をしながらでも子どもの様子がよくわかりますし、リビングは1階フロアから一段低く配置されていて、子どもが寝転んだり遊んだりすることが可能です。

またLDKに隣接してタタミフロアも用意されています。タタミの上ですから少々激しく遊んでも安心。また、タタミフロアは逆に1段高く配置されているのも特徴です。このように、段差を設けることで、一般的にソファ中心になりがちなLDKの様々な場所に家族の居所ができるという利点もできるのです。

「段差があると危険じゃない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、我が家は子どもにとっては一番の遊び場です。「コドモ里山ラボ」のモデルハウスのように、大人の目が届きやすい間取りであれば、子どもが少々乱暴に遊んでいたとしてもすぐにわかりますから大丈夫でしょう。

街づくりの視点からキッズデザインを考えると…

クルドサック道路

「クルドサック道路」の様子。外部から自動車が入って来ないため、子どもの格好の遊び場になる。また、街区の住民とのコミュニケーションの場となり、子どもの社交性を育むことも期待できる(クリックすると拡大します)

要は、大人の目に子どもが触れやすい間取りであることが何より大切なのです。子どもにあまり干渉しすぎても自主性や創造性が育まれませんから、適度な距離感がある中で、そっと大人が子どもを見守れる環境づくりをすることが重要であり、それが最近のキッズデザインにみられる考え方です。

大人と子どもの距離感という点では、建物の配置や道路の形状も重要なポイントです。コドモ里山ラボでは、「クルドサック道路」にキッズデザインによる配慮が表れています。これは自動車の通り抜けができず、かつ方向転換が可能な形状の道路のことをいいます。

こう表現すると難しいですが、簡単に言うと円形道路の周りに建物を配置した道路形状のことです。クルドサック道路の良さは、通行するのは建物の住民に限られますから、交通量が少なく、そのため道路が子どもの遊び場になることです。また、住民同士で子どもの様子を見守ることができますし、休日などは住民同士が交流することで子どもの社交の場にもなります。

このように住宅単体だけでなく、街づくりの視点からキッズデザインのあり方を知ることができることもコドモ里山ラボの魅力の一つとなっています。このほか、モデルハウスの中にはアクタスコクヨジャクエツパナソニックというコラボ企業のキッズデザイン商品も各所に展示されています。

また、これら企業の製品のほかにも様々なキッズデザイングッズも用意されています。10月までのわずかな時間しか残されていませんが、もし子どもの安全や安心、子育てに配慮した住宅への理解を深めたいというのなら、一度、コドモ里山ラボを見学してみるとよいでしょう。
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