子どもの心にまっすぐに届く社会派の絵本
息子とは会話でのコミュニケーションが取れませんので、私の好みで買い与えても興味を示すことが少ないです。そのため、絵本は、通っている保育園で息子に蔵書を選んでもらい借りてみます。
そして、何度も読んでとせがんだ本をお店で購入することにしています。
この『ちいさいおうち』は本当に大好きで、結構長いお話なのですが、何度も「読んで!」とせがまれる本です。
もちろん、購入しました。
息子は男の子なので、重機が多く現れる工事現場の場面なども大好きです。
ストーリーは現代に通じる部分が多くあることから、私は読み聞かせながら、比較的最近の本だと思っていました。
しかし、この絵本は日本で第1刷が発行されているのが1954年です。
今から約60年ほどの前の本なのです。
ストーリーはお子様には内緒で……。
自然豊かで四季の移ろいとともに幸せに暮らしていたピンク色のおうち。
やがて、環境の変化によって、おうちのまわりには舗装された道路、家が立ち並びます。
ビル、マンション、などが建設され、電車などのインフラが発達し、どんどん街になっていきます。
夜も昼もわからないくらいです。
私の住んでいるまわりでも、ショッピングモールが建設のために重機が入り、さらに便利になっていくものの、夜でも明るく星を見ることができなくなりそうです。
大人も、子どもと一緒にいろいろなことを考えさせられる本です。
環境のことを考えたりするのにも、いい機会になるかもしれません。
イラストや装丁の色の合わせ方がかわいいですが、社会派の絵本だと感じます。
石井桃子さんの訳の日本語もまわりくどさがなく、すっきりしています。
子どもの心にまっすぐに届くでしょう。
■ちいさいおうち
出版社:岩波書店
文・絵:バージニア・リー・バートン
訳:石井 桃子
価格:672円
HP:www.iwanami.co.jp/hensyu/jidou/index.html
※データは記事公開時点のものです。