由緒あるホン書き旅館
実はこの宿。知る人ぞ知るホン書き旅館。「神楽坂ホン書き旅館(黒川鍾信 著)」も出版されています。この周辺には出版社が多かったため担当編集者がへばり付き、缶詰めにされながら原稿を書き上げていたのですね。あの山田洋次監督や野坂昭如氏をはじめ著名な作家達が常宿にしていたといいます。
お話してくれるのは女将の和田敏子さん。御年に関わらずキリリとした佇まいが素敵です。
新入りの編集者がうたた寝をしてしまい原稿をもらえず、泣きながら女将さんに助けを求めてきたこと。まだ置屋があった頃に火事があり、周りの女将は一糸乱れず出てきたのに自分は寝間着姿で恥ずかしかったこと等。当時の神楽坂の生活が生き生きと蘇ってくるようです。
朝食は炊きたての白飯に香ばしく焼けた魚などの和定食を部屋でいただきます。シンプルですが丁寧な仕事がされていてとても美味しい。
宿をチェックアウトして表通りに出れば、そこにはいつもの神楽坂。昨晩の事がまるで秘め事のような不思議な感覚にとらわれます。
第二の我が家にするもよし。たまった仕事を持ち込むもよし。
東京に残る貴重な旅館文化を体験しに出かけましょう。
■東京・神楽坂 「旅館 和可菜」
■住所:東京新宿区神楽坂4-7
■TEL:03-3260-3769
■料金:朝食付き 10500円/素泊まり 9000円
■地図:Yahoo!地図