これまで経験したことがない迫力のフィール
まずはEVモードで走り出した。最初のパワー乗りが力強くて、なかなか速い! 120km/hまではEV走行できる。フル充電からの航続レンジはおよそ35kmというから、ガレージから市街地を抜けるまでは静かにドライブできるという寸法だ。
さらに踏み込んでみれば、ハイブリッドモード(コンフォート)に変わる。そこからは、エンジンを効果的に使って、駆動と充電に充てているのだ。早朝、都心のガレージ。近所迷惑をまったく気にすることなく、出発できる歓びを容易に想像できる。そして、移動中は、モーターとエンジンの美味しいところだけを使って経済的に走る。いざ、スポーツモードを選べば……。
両パワーソースを最大限に使っての加速。上等とまでは言えないが、力強いサウンドがキャビンを満たす。スピーカーからもエンジン音が聞こえてくる。
加速フィールはまったくもって、申し分のないものだった。車体の軽さと低重心さが利いているのだろう。分厚いモータートルクと強力なターボチャージドの組み合わせは、まるでツインチャージャーパワーのようだが、これまで経験したことがない迫力のフィールである。ややフロントサスペンションが突っ張っているように感じられるものの、重量配分は依然50:50を守っており、ハンドリングも上々であった。
試作車完成後半年というレベルで、フロントモーターとリアのエンジン+モーターとの協調制御や、フロントシャシーのセッティング、サウンドの演出などなど、まだまだ煮詰めの足りないところも散見されたが、エンジニアたちはもちろん、全ての課題を把握しており、残された半年で磨きをかけてくれることだろう。
新時代の到来を告げる唯一無比のスポーツカー。スーパーカーでは決してないから、価格は10万ユーロ以上、20万ユーロ以下に収まるらしい。ライバルはズバリ、ポルシェ911、とみた。
2014年半ばには、いよいよ、街を走りだす。