不動産売買の法律・制度/不動産売買ワンポイントアドバイス

窪地の家、谷間の家

窪地や谷間などに家が建てられている例は、山間部だけではなく都市の中にも多くみられます。このような敷地では、周囲のがけ崩れ対策はもちろんのこと、さまざまな面についてしっかりと確認しなければなりません。また、市街地の住宅地にも「なだらかな窪地」は数多く存在しているので、同様の注意が必要です。

執筆者:平野 雅之

【不動産売買ワンポイントアドバイス No.014】

窪地の家、谷間の家

窪地や谷間にある家は、通風や日照のほか、地盤も十分な確認が必要


大雨によるがけ崩れなどで住宅が被害を受けるのは、地方の山あいの集落にかぎったことではありません。大都市の郊外などでも、回りをがけに囲まれた窪地や谷間に建てられた住宅が少なからず存在しています。もし、このような地形の土地や住宅を検討する場合には、周囲のがけ崩れ対策がどうなっているのかをしっかりと確認するとともに、敷地の地盤強度についても事前によく調べてもらうことが重要です。

このような地形は、丘陵地が雨水や湧き水によって浸食されてできたケースが多く、水が集まりやすいことから、かつては水田として使われていたり、湿地だったりした土地も少なくありません。それが都市化の波に押され、住宅の敷地へと転用されていったのでしょう。浸食により形成された谷状の地形を「谷戸(やと)」(地域によって、やつ、やち、や、がいと、など)とも呼びます。もともと水が集まりやすい地形ですから、地中に含まれる水分量が多く、地盤が弱いケースも多くなります。十分な調査をしたうえで、適切な地盤対策をすることが欠かせません。また、日照や通風、さらに湿気の状態についてもよく確認するようにします。

しかし、上の写真のような地形なら、慎重な調査が必要なことに誰でも思い至るでしょう。注意しなければならないのは、むしろ住宅やビルが立ち並んだ都市部の「なだらかな窪地」かもしれません。回りを多くの建物に囲まれていると、地形の変化にはなかなか気付きにくいものですが、たとえ緩やかな傾斜であっても窪地であれば水が集まりやすいことに変わりはないのです。水が集まりやすければ地盤が弱いケースも考えられるほか、かつてはそこが沼や湿地だった場合もあるでしょう。いずれにしても、土地や住宅を選ぶときには回りの地形を読み解くこと、そして地盤強度をしっかりと確認することが欠かせません。


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