4月の放送スタートから、それまで朝ドラを観なかった世代や、様々な層を巻き込んで現在大ヒット中のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」。ヒロイン・アキ役を演じる能年玲奈さんのフレッシュな魅力もヒットの大きな要因の1つですが、北三陸の人々、そして東京の人々とアキを取り巻く登場人物たちにある共通点があるのをご存知でしょうか? そのキーワードは……ズバリ……「演劇人」!
 

「あまちゃん」の脚本家・宮藤官九郎さんってどんな人?

「分かる奴だけ分かればいい。」と登場人物に言わせるほど、劇中にクスっと笑える小ネタがちりばめられている「あまちゃん」。その全ての回の脚本を手掛けているのが宮藤官九郎さんです。

宮藤さんは1970年生まれの43歳。日本大学芸術学部放送学科を中退したのち、本格的に劇団 大人計画での活動をスタートさせ、主宰の松尾スズキさんの演出助手を経て、大人計画・本公演での作・演出・出演、と活躍。劇団内で立ち上げた自身のユニット、ウーマンリブでは全ての舞台で作・演出を担当しています。

テレビの世界では20代の時にバラエティ番組の構成作家として「笑う犬の冒険」等でコントの台本を書き、その後執筆したドラマの脚本では「池袋ウエストゲートパーク」や「木更津キャッツアイ」 「流星の絆」 「タイガー&ドラゴン」等の代表作がある事は皆さんもご存知の通りです。映像での俳優業や映画監督、文筆業、グループ魂としてのミュージシャン活動等、怒涛の勢いでの活躍っぷりですが、そのルーツ……実は……舞台だったのですね。

北三陸 スナック「リアス」はプチ本多劇場!?

そんな宮藤官九郎さんが初めてNHKで書いたドラマが「あまちゃん」と言う事で、1話の中にこれまでの朝ドラ史上初!と言っても過言ではない数のギャグと小ネタが仕込まれ、その濃い脚本を更に濃い目の俳優さん達が演じている訳なのですが……そんな北三陸の’演劇人’たちをご紹介していきましょう。

海

アキが海でウニを獲るシーン、かっけー!でした。

「あまちゃん」北三陸篇で、登場人物たちが夜な夜な集うスナック「梨明日 リアス」。ここで独特のファッションを披露する今野弥生役の渡辺えりさんは女優としての活動だけでなく、ご自身が代表を務める「オフィス3○○(さんじゅうまる)」で劇作・演出も担当しています。同じく海女クラブのメンバー、「眼鏡会計ババア」こと長内かつ枝を演じる木野花さんは、1980年代に小劇場界で一大ムーブメントを起こした女性だけの集団「劇団 青い鳥」の創立メンバー。退団後も舞台の出演、演出と幅広く活躍なさっています。

渡辺えりさんと木野花さんは、いわゆる小劇場ブームと言われた80年代に、お互いの劇団で活動しつつ当時から交流があったり、舞台での共演も複数回あったりと息もぴったり。楽屋でもとても仲良しだそうです。(その感じ、ドラマの中でも良く出ていますよね。)

副駅長の吉田さんを演じる荒川良々さん、海女クラブの辛口トーカー花巻さん(伊勢志摩)、いっそんこと潜水土木科の磯野先生(皆川猿時)、後にアイドル評論家となるヒビキ一郎(村杉蝉之介)の4人は宮藤官九郎さんと同じ大人計画の劇団員。観光協会の菅原さん(吹越満)は「劇団WAHAHA本舗」の出身で、同じく観光協会事務の栗原ちゃん(安藤玉恵)はドキュメンタリー演劇という新ジャンルで話題になった「ポツドール」の出身。漁協の組合長を演じるでんでんさんは、7月につかこうへいさん原作の「ストリッパー物語」に出演しています。

まめぶ

NHKスタジオパーク内レストランの期間限定「あまちゃん」メニュー。右側がまめぶ


アキが1人でウニを獲る姿を見届け、北三陸から’まめぶ大使’として関東に行った安部ちゃんこと片桐はいりさんは、80年代から90年代にアート色の強い作品を多数発表した「ブリキの自発団」の看板女優の1人。海女クラブの明るいセクシー担当、美寿々役の美保純さんも、長塚圭史さん率いる「阿佐ヶ谷スパーダース」にゲスト出演するなど複数の舞台に立っています。

更に、弥生さんの旦那さんでブティック今野のご主人・今野あつし役の菅原大吉さんは、リアル奥様の竹内都子さんと舞台の公演を定期的に打っていますし、渋さと優しさが混在する琥珀の勉さんこと塩見三省さんは、新劇の劇団「演劇集団 円」に所属。

更にさらにっ(ぜえぜえ……)アキのおじいちゃんこと忠兵衛さんを演じる蟹江敬三さんも元々は舞台の出身。何と、蜷川幸雄さんと一緒に劇団を作っていたこともあるんです!

これだけ経験豊富で腕に覚えがある俳優さん達が同じ画面にいる訳ですから、「あまちゃん」を観た多くの人達がツイッターで’これはもうプチ本多劇場状態’とつぶやいちゃうのも納得!ですよね。

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