ヘッドホン・イヤホン/おすすめヘッドホン・イヤホンレビュー

2013年上半期、おすすめのヘッドホンは?(2ページ目)

今年上半期はDJ用やBluetooth、重低音追求型などの個性派モデルに何台もの注目機が発売されました。今回採り上げたモデルも、個性はじつにさまざま。それぞれが目指す方向性を中心にご紹介していきます。

辻村 多佳志

執筆者:辻村 多佳志

ヘッドホン・イヤホンガイド

第4位
純オーディオ再生のクオリティを突き詰めたモデル
フォステクス TH600

TH600

質実剛健の凄味が漂う「TH600」

お次は、フォステクスの高級ヘッドホン「TH600」です。メーカー設定の標準価格は8万4000円。フォステクスには、漆工芸で世界的な名声を集める坂本乙造商店が手掛けた、漆仕上げのハウジングを持つ、15万7500円の「TH900」という超高級ヘッドホンがあるのですが、本機はその下に位置するモデル。TH900の半値なのか~、と考えるとお安く思えてきたりもします。

ただ、下位機種とは言っても、TH900の漆塗りを省きました、というだけのヘッドホンではありません。振動板を駆動するためのボイスコイルを横切る磁力の強さ(磁束密度)は、TH900の1.5テスラに対しTH600は1テスラとなっており、ドライバ自体は別のものと考えた方がいいかもしれません。

ルックスは、もう本当にオーソドックス極まりない、昔ながらの密閉型ヘッドホンという印象です。飾りっ気も洒落っ気もないので、高級感が薄いとお感じの方もいらっしゃるでしょうが、筆者はこの質実剛健な佇まいがお気に入り。テカテカの鏡面仕上げだと指紋だらけになってしまうので、個人的にはTH600のようにマットな仕上げは助かります。

ハウジングの材質は強靭なマグネシウムダイカストで、内部にはピエゾンシートと呼ばれる制振材を配し、ハウジングの鳴りをコントロールしています。イヤーパッドには卵由来のプロテイン成分を配合した素材を使うなど、シンプルに見えて凝りに凝った設計が施されているのがツウっぽくていいと思います。

サウンドの傾向は大人しいデザインとは異なり、ホットで明快、かつ深みもたっぷり備えるという現代的なテイスト。中高音ばかりか低音もかなりキリリと引き締まっていて、ふわっとした空気感で音楽を演出するタイプではありません。といっても、硬くて鋭いだけの表面的なクリアさともまったく違います。ブラスや女性ボーカルはツヤがしっかり乗り、ハイハットやシンバルは金属の厚みをしっかり感じさせながら鳴らし上げ、透明感も音場感も十二分です。妙なクセや得手不得手がないので、音楽のジャンルを問わずオールラウンドに聴けるのではないでしょうか。

TH600

フォステクス TH600

■フォステクス TH600
【主要諸元】
型式:密閉型、ドライバ:50mm、出力音圧レベル:94dB/mW、再生周波数帯域:5Hz~45,000Hz、最大入力:1,800mW、インピーダンス:25Ω、質量:370g(コード含まず)、ケーブル長:300cm

標準価格:8万4000円

第3位
携帯端末を自在に使いこなす人のための、スマートで知的なモデル
ボーズ AE2w Bluetooth headphones

AE2w Bluetooth headphones

ボーズ初のBluetoothステレオヘッドホン「AE2w Bluetooth headphones」

ノイズキャンセリングヘッドホンの世界で第一人者の評価を欲しいままにするボーズ。そんな同社が目指す次なる第一人者の座は、Bluetooth接続のワイヤレスヘッドホンではないでしょうか。この「AE2w Bluetooth headphones」の新製品リリースに「ボーズ初のステレオBluetoothワイヤレスヘッドホン」との記述があって、あれ? 初だっけ!?と驚きました。ボーズはこういう現代的な製品作りが上手いというイメージがありますよね。

本機のベースモデルは、すでに発売されている有線ヘッドホン「AE2 audio headphones」。ケーブルを接続すればパッシブヘッドホンとしても利用可能です。見た目は、AE2を黒く仕上げ、ケーブルを外したところにBluetoothモジュールをくっ付けたイメージ。このBluetoothモジュールがけっこうゴツいんですね。

モバイル端末をコントロールするためのマルチファンクションボタンやボリュームを手探りで操作するために、あえてこのような形状にしているのでしょう。ベースのAE2が小さく軽いモデルなので、余計に目立ってしまうのかもしれません。ただこのモジュール、付属のオーディオケーブルと同等にまで軽量化されていますので、AE2で圧倒的に評価が高かった、存在を忘れるほど軽やかでフィット感に優れたかけ心地を損なうことはありません。

そのBluetooth接続機能ですが、A2DP対応のデバイスと連携が可能です。なかでも特に「iPad」に最適化した設計が施されているそうで、耳元のコントロールボタンを操作すれば、iPadの動画や音楽の再生操作、音量調節などが手軽に行えます。ヘッドホン側のバッテリー残量をiOSデバイス画面上に表示させられるなど、便利な機能も盛り込まれました。

また2台のデバイスと同時に接続できるマルチポイント機能を搭載。iPadで音楽や動画を聴いている間にスマートフォンへかかってきた電話を、そのまま受けることができます。Bluetoothモジュールにはマイクが内蔵されていますから、ケーブル途中のリモコンマイクを口もとに持っていく、などの動作も必要ありません。

サウンドは、AE2よりもあきらかに厚みが増しました。Bluetoothモジュール内にイコライザー回路を組み込んで音質を向上させているのだそうです。とはいえ、中音を中心に据えて高音や低音をさり気なく配した音作りは、妙な誇張感や押しつけがましさがなく、聴き疲れせず自然で居心地がいいです。仕事中や移動中に音楽をBGM的に聴く、深夜にゲームを楽しむなどの用途にはピッタリの音作りといえそうです。

AE2w Bluetooth headphones

ボーズ AE2w Bluetooth headphones

■ボーズ AE2w Bluetooth headphones
【主要諸元】
質量:150g、対応プロファイル:HSP・HFP・A2DP・AVRCP、電源:充電式リチウムイオンポリマー電池、連続再生時間:約7時間、連続待受時間:約200時間

希望小売価格:2万6250円
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