小心者の男が段々「鬼」になっていく

 

 

70年代に製作された邦画のサスペンス/ミステリー映画。私がお薦めするのはコチラです!

■作品名
「鬼畜」
■監督
野村芳太郎(1978年 松竹作品)
■主演
岩下志麻、緒形拳
■DVD販売元
松竹ホームビデオ


この映画には血が飛び散ったり、誰かの死体が突如消えたり、探偵が山荘に皆を集めて謎解きをするといった、サスペンスやミステリーにありがちな場面は一切ありません。……でも、めちゃめちゃ怖いんです!

舞台は埼玉県川越市。この土地で印刷工場を営む宗吉(緒形拳)と妻のお梅(岩下志麻)の元に、突然3人の子供を連れた女・菊代(小川真由美)がやってきて、「女1人で子供なんて育てられない。この子達はあんたの子なんだからここに置いていく」と幼い子供達を残し、どこかに消えてしまいます。

その3人の子供達は、羽振りが良かった頃の宗吉が、愛人である菊代に産ませた隠し子だったのです。

それまで愛人の存在も隠し子の事も一切知らなかったお梅は鬼の形相で宗吉を責め、子供達に対しては虐待とも取れる酷い扱いを続けます。

ある時、一番下の男の子・庄二が事故ともそうでないとも取れる状況で亡くなってから、お梅は宗吉に対して他の2人の子供も「始末」するように責め立てるのです。

……そして宗吉の取った行動は……。

血も一切画面には映らないし、具体的な殺人のシーンさえ映画の中には出てこないのですが、真っ暗な家のどこかで子供が嗚咽している声や赤ちゃんの泣き声には心底ゾっとさせられますし

凶暴でも悪人でもない小心者の1人の男が、妻の言葉や表情によって追いつめられ、段々「鬼」になってしまう……その過程にじわじわと震えが止まらなくなります。

決して明るい結末ではありませんし、正直観終わった後にどどーんと重いものが胸の中に残る映画ではありますが

実は誰しも心の中に「鬼」を飼っているのではないかと深く考えさせられる作品です。



※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。