マネープラン/ゼロからはじめるマネープランの考え方

まだ間に合う!「貯蓄ゼロ」から始めるマネープラン

マネープランは長い人生に備える、いわば「資金計画」。したがって、その実践には貯蓄が不可欠になるわけですが、では、貯蓄がほとんどない、あるいは毎月赤字ギリギリという家計はどうすればいいのでしょう。そこでここでは、貯蓄ゼロでもあきらめない、今から始めるマネープランをレクチャーしたいと思います。

清水 京武

執筆者:清水 京武

マネープラン・節約ガイド

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年収1000万円超でも1割以上が「貯蓄ゼロ」!

まずは、貯蓄の話題ではいつも引き合いに出されるデータから。金融広報中央委員会が毎年実施する「家計の金融行動に関する世論調査」の2019年版によると、2人以上世帯の23.6%が「金融資産を保有していない」と答えました。これは、4世帯にほぼ1世帯という割合です。

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ここでいう「金融資産」とは、将来に備えての貯蓄商品および株式や債券等の投資商品、貯蓄性のある保険商品が対象で、生活費の日常的な出し入れ・引き落としに備えている部分は除きます。つまり、「金融資産を保有していない」とは、手持ち資金はあっても、貯えの役目をはたす資金はゼロということを意味します。

さらに、この調査で興味深い結果があります。年収別で見てみると、300万円未満(「収入なし」は除く)の世帯がその割合がもっとも高く39.1%。しかし、500万~750万円の世帯でも13.5%、1000万~1200万円の世帯であっても10.3%が「金融資産なし」と答えているのです。もちろん、平均以上に必要な支出が膨らむ家庭(子どもが多い、多額の住宅ローン、など)もあるでしょう。しかし一方で、まとまった収入があるにもかかわらず、「貯蓄はまあそのうち」とついつい後回しにして、結果、支出を重ねてしまっている世帯も少なくないということです。

しかし、考えてみてください。教育資金に住宅資金、そしていずれ訪れる老後に向けての資金、等々。人生、特別なことをしなくても、お金がかかります。これは貯蓄のあるなしとは関係ありません。そして、必要なときに困らないために資金を備える、それこそがマネープランの重要な目的なのです。
 

貯蓄継続のカギはモチベーションと家族の協力

では、実質「貯蓄ゼロ」の家計では、マネープランをどう立てるべきでしょうか。

まず、必要な資金の時期と額を明確にします。教育資金は、高校まで公立なら考慮するのは大学費用として400万円前後(私立文系)、と考えるのが一般的。つまり、お子さんが現在0歳なら、18年後に大学資金が発生します。住宅資金なら、5年後に頭金300万円と、具体化してみます。老後資金は少なくとも20代、30代は考慮しなくてもいいでしょう。

次に、可能な貯蓄額を割り出します。そこで家計を見直してみましょう。現状が貯蓄ゼロなのですから、結果的に支出が収入を上回っているはず。そのうち、把握していない支出=使途不明金をまずはなくすこと。そして、すべての支出に優先順位を付けます。つまり、どの支出ならどの程度削ることができるのか、具体的に考えてください。スタートは少額でも構いません。マネープランの必要性に気付いただけでも、大きな前進なのです。

割り出した可能な貯蓄額で再度、必要な資金が必要な時期までに貯まるかどうか、試算します。きびしいようであれば、教育費や住宅費のプランを見直す(住宅を新築から中古に切り替える、など)こともあるでしょう。途中、貯蓄ペースが上がれば、またプランを変更すればいいのです。
 
マネープランは定期的に立て直すことも大切です

マネープランは定期的に立て直すことも大切です



そしてもっとも大事なことは、貯蓄の継続です。そのために不可欠なのがモチベーション。「絶対、一戸建てを購入する」「子どもを大学に進学させたい」「独立開業したい」という強い思いがあれば、ついしてしまうような支出も我慢できるものです。

ただ、それを1人で行っても空回りする危険があります。たとえば、奥様が日々家計を切り詰めているのに、能天気な夫は趣味のフィギュアをまた買ってきた……。これでは、貯蓄どころか、家庭争議にまで発展しかねません。貯蓄は家族の協力があってこそ実現します。そのためにも、家族でよく話し合うことが大切なのです。

と同時に、何から何まで節約では息が詰まります。予算を決めて、ときに家族で楽しむ。その分、支出が増えますが、それも貯蓄継続のための必要経費と考えてください。


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