キッチンの吊り戸棚の取り付け位置は、下端までの高さが肝心
活用リフォーム術-その1
キッチンのリフォームプランを考える際は、吊り戸棚本体の高さ寸法ばかりにとらわれ過ぎないことです。大切なことは吊り戸棚が自然な動作領域の中で使えるかどうか。床から吊り戸棚の下端までの高さが肝心です。天井高2.4mの部屋に天井から高さ70cmの吊り戸棚を取り付けると、下端までの高さは床から1.7mです。これでは頭より高い位置にあるので、中が全く見えません。出し入れするにも、脚立か踏み台を使うか、頭の上から取り出すことになるので使いにくく、結局また不要品置き場になってしまいます。
高さ60cmの吊り戸棚を天井からスキマをあけて取り付けることで、下端の高さを1.3m程度まで下げたプラン。吊り戸棚が使いやすい(トクラス)
上の写真は高さ60cmの吊り戸棚を天井ぴったりにつけずに、下にずらして取り付け、下端までの高さを1.3m程度に調整したプランです。吊り戸棚は、下端が目の高さより少し下になると、出し入れしやすく使いやすくなります。
使いやすい高さは、本体の奥行や使う人の身長によっても異なります。うっとうしくなく、かつ使いやすい高さを決めるためには、できるだけショールームへ行き、実物で体験しましょう。
また最近は背の高いキッチン家電もあります。低すぎるとカウンターとの間に家電製品が置けなくなりますので注意しましょう。
リフォームでのショールーム活用術は下記で詳しくご紹介していますのであわせてご覧下さい。
吊り戸棚を開けっ放しにしていても、顔をぶつけない扉にすると安心
活用リフォーム術-その2
吊り戸棚の位置を下げた際に、気を付けたいのが扉の開閉です。ちょうど目の高さの収納は、塩や砂糖などの調味料、普段使いのキッチンツールなどがパッと出し入れできて便利です。しかし調理中は、急いでフライパンの様子を見たり、冷蔵庫に食材を取りにいったりとあわただしいもの。つい吊り戸棚の扉を開け放したまま移動して、思い切り顔をぶつけてしまったというケースもあります。実はガイドYuuもそれで痛い目にあいました。
跳ね上げ式、フラップ扉の吊り戸棚。窓前に設置しても光をさえぎらないよう工夫されている(LIXIL)
そこでお勧めなのが、跳ね上げ式の扉や引き戸です。キッチンは通路が狭いことが多いので、扉を開けておくとジャマになりますが、これなら開けっ放しでも大丈夫。安心して使えます。
吊り戸棚を余すことなく活用したいなら、電動昇降式に
活用リフォーム術-その3
キッチンの吊り戸棚を徹底的に活用したい場合は、電動昇降式を取り付けるリフォームがお勧めです。ふつうの吊り戸棚より値段は高くなりますが、スイッチひとつで吊り戸棚本体が自然な動作領域へ飛び込んできてくれるので、隅々まで日常使いの収納として活用できます。電動昇降式の吊り戸棚なら普段はスッキリ、使う時だけ便利な収納になる。幅1.8mタイプもあり、降りてくる様子は圧巻。目の前に大型収納があるとかなり便利(クリナップ)
吊り戸棚はシステムキッチンとセットで購入すると意外と値段が張るものです。とりあえず付けておくのでは、結局は高いお金を出して死蔵品置き場を作ってしまうことにもなりかねません。付けるなら徹底活用できるようシッカリ吟味して取り付けましょう。
吊り戸棚は使わないなら付けないという選択肢もアリです。キッチンの収納リフォームで押さえておきたい4つの掟は下記でご紹介していますので、あわせてご覧下さい。 【関連記事】
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