キッチンに吊り戸棚。当たり前の組み合わせのようですが、リフォームの時にあえて取り外す人も少なくありません。今回は、吊戸棚の実力を徹底解剖!不用品置き場になるワケ、意外に大きい収納容量!弱点を克服して便利な収納として活用するリフォーム術もご紹介します。

キッチンの吊り戸棚は付けるべき?無ければ無いで収納に不安が

吊り戸棚の中身

あなたの家のキッチンの吊り戸棚には何が入っている?

キッチンのリフォームの時、付けるか付けないか悩む人が多いのが吊り戸棚です。

吊り戸棚は頭の上にあるのでうっとうしい、窓が大きく取れない、キッチンが暗くなる、そして何より使いにくいと、評判はあまりよろしくありません。リフォームの際は取り外してスッキリさせたいという人も多いのですが、でも無ければ無いで、やっぱり収納に不安があります。

そこで、リフォームセミナーでお会いした悩んでいる方々に、キッチンの吊戸棚を活用できているか?何が入っているか?聞いてみました。

 

あなたの家ではキッチンの吊り戸棚の中に何が入っていますか?

・ラップ、ホイル、ペーパータオルのストック
・ジャムの空き瓶(いつか何かに使えるかも)
・密閉容器(粗品でもらったもの、ほとんど使っていない、黄ばんでいるかも)
・お弁当箱の予備や水筒(子どもが小さな頃に使っていたものも)
・お菓子の型(あまり使っていない、でも捨てるにはもったいない)
・フォンデュ鍋(たまに使う)
・お正月のお重(1年に1回使う)
・アロマキャンドル(他にしまう場所が無かった)
・カセットコンロのガスボンベの予備 など  

ざっと聞いてみてところ、キッチンの吊り戸棚を上手に活用している人はごく少数でした。だからこそリフォームの時に悩んでしまうわけですが、どうしてこのようなことになってしまうのでしょうか。

実は、これら吊り戸棚の中に入っている物には共通点があります。それは使用頻度です。使う回数が極端に少ない物、もしくは全く使わない不要品がほとんどです。なぜこんな物を、わざわざキッチンのシンクの頭の上に収納しているのでしょうか?それにはちゃんと理由があります。

吊り戸棚が不用品置き場になるワケ、脚立や踏み台の危険性も

台所用品

ただでさえ物が多いキッチン。そんな高い所に収納する意味は?

使いやすい収納としての大事な条件は、自然な動作領域の中にあることです。自然な動作領域とは、無理な姿勢を取らずに自然に動ける範囲のことで、だいたいヒザの高さから目の高さまでです。

キッチンの吊り戸棚は目の高さより上にあるため、自然な動作領域から外れています。背伸びをしたり、椅子を運んだり、出し入れするのに手間が掛かります。

そんなメンドウな収納は、とても普段使いにはできません。結局できるだけ使わない物を入れるようになり、そのうち存在を忘れて死蔵品になる、そんな悪循環が起きやすい場所なのです。

また吊り戸棚は、危険な事故が起きやすい収納でもあります。脚立や踏み台を使っての出し入れは、高齢者はバランスを崩しやすく、落下の危険性があります。国民生活センターも、この脚立や踏み台からの落下が、高齢者の家庭内事故の原因のひとつとして警告しています。

老後を考えた安全な住まいづくりをするなら、脚立や踏み台を使って出し入れするような収納は作らないことが肝心でしょう。

 

貴重な収納スペースの吊り戸棚、なんと食器棚1本分の収納容量

そうは言っても、キッチンの吊り戸棚は限られた中での貴重な収納スペースですし、目の前にある棚からさっと調理器具を出せるのはとても便利です。実際のところ、どれくらいの収納力があるのでしょうか。

キッチンメーカーで準備している一般的な吊り戸棚の高さは3~4種類。下の写真はパナソニックのシステムキッチン、ラクシーナシリーズで、左から高さ50cm、60cm、70cmです。

サイズ比較

吊り戸棚をシンク上に取りつける時は吊戸棚の長さより下端の高さをチェック(パナソニック


これらが、実際どれくらいの収納容量があるのか計算してみます。下の写真は標準的な幅2.55mのシステムキッチンのプランで、高さ70cmの吊り戸棚が付いています。この容積は1.8m×70cm×37.5cm。これは幅60cmの食器棚と同程度の容量があります。

ピンクのキッチン

この吊り戸棚は、幅60cmの食器棚と同じくらいの収納容量がある(パナソニック


これは使いこなさないともったいないほどの収納力!と言うわけで、リフォームで吊り戸棚を取り付けるなら、徹底的に活用できるよう、工夫をしましょう。

次のページは、吊り戸棚を活用するリフォーム術、3つのポイントです。