個人はなぜ借金してはいけないのか
それでは個人はなぜ会社のように借金してはいけないのでしょうか。それは、個人の借金は「借りた以上の価値を生み出すことがほとんどない」からです。個人がお金を借りて、その後利息を上回る価値を生み出し、差額を手元に残すようなことはできるでしょうか。服を買ったり、家電を買い替えたりしたとき、これは使い続けるモノです。もしかするとビンテージになったとき購入価格より高い値段で売れるかもしれませんが、ほとんどの場合、使い古したあとでは値段がつかず、むしろ粗大ごみの回収費用を請求されてしまうことでしょう。
個人は、借りたお金を使って同額以上のお金を得ることは基本的に不可能です。会社のように借りたお金を上回る金額が手元に戻ることはありません。つまり、個人の借金にとっては、借りた金額すべてが返済の対象であり、利息もさらにのしかかってくると考える必要があります。借入の利率も企業融資より高いのが通常ですから、金利負担も重くなります。
個人が借金をして資産を作る数少ない例が住宅ローンで、これだけはローンを組んだ家に住むことで家賃負担はなくなり、返し終えたら自分の持家になるという点で、借金の価値があります。それでも借りた額の1.5倍くらいを返すことになるわけで、軽く考えて買うものではありません。また、不動産価値(土地・建物)が借入額より上がる時代ではありませんから、より慎重なローン設定が必要です。
カジュアルな借金ほど危ないと考えたい
消費者金融はアイドルやタレントを使ってテレビCMを積極的に打ちます。銀行系ローン、銀行のパーソナルローン、クレジットカードのリボ払いやキャッシングも、「手軽」「簡単」「便利」というイメージで利用を案内してきます。ハガキタイプのDMをもらった人も多いはずです。こうした広告は、あなたに借金を利用してもらおうと、心理的ハードルを下げようとしています。なぜなら、強制的に借金を組ませることはできないからです。だからこそ、こうしたカジュアルな借金は危ないと考えたほうがいいのです。
マネーハック的発想でいえば、「あのアイドルも笑顔で薦めているし、いいかも」と考えるのは間違いで、「ずいぶん金利で儲けているからたくさんのCMが打てるに違いない。自分は金利を払う側にならないほうがよさそうだ」と考えるべきです。
生活のやりくりが安定的になるからといって、借金をして毎月金利を払っていい理屈にはなりません。会社もお金を借りる際には真剣に悩んで銀行と契約に臨みます。個人も同じです。どのような借金も、軽く考えて組むべきではないのです。
【関連記事】
子どもが生まれたらすぐ考えるマネーハック
あなたの「ゆがみ」が投資で間違う元である
あやしい金融商品にカモられない究極の策2つ